凜とした美しさが際立つジョディ・フォスター

【１万本を見た映画記者　極私的スター名鑑】 子役は大成しないというハリウッドのジンクスを見事に打ち破ったのがジョディ・フォスターである。３歳のころからモデルとして活躍。１３歳のとき、「タクシードライバー」（１９７６年、マーティン・スコセッシ監督）で演じたコールガール役はゾクゾクするほど妖艶だった。この作品でアカデミー賞助演女優賞の候補になり、天才子役として脚光を浴びる。 【写真】日本に来日した際、日比谷シャンテ前の「合歓の広場」に飾る手形をとったジョディ・フォスター しかし、狂信的ファンが当時のレーガン大統領暗殺未遂事件を起こし、映画界を離れていたこともある。彼女はストーカーに悩みながら名門エール大学で文学を専攻し優秀な成績で卒業した。 やがて問題作「告発の行方」（８８年、ジョナサン・カプラン監督）で男３人にバーでレイプされる女性をリアルに演じアカデミー賞主演女優賞を獲得。２度目の同賞に輝いたサイコホラーの傑作「羊たちの沈黙」（９１年、ジョナサン・デミ監督）の来日記者会見には、会場の帝国ホテルに大勢の記者がつめかけた。 ジョディは「美しさの秘訣は？」という、よくある質問に「くだらなくて退屈な質問にはお答えしたくない」と応じた。その毅然とした態度に拍手したくなった。 単独インタビューでは「私は頑固で噓をつけない性格なの。自分の考えがまとまると、絶対にギブアップしない」と自己分析。身長が１６０センチ前後でハリウッド女優の平均よりも小柄だけど、画面で大きく見えるのは存在感があるからだろう。 監督業に進出した彼女は製作会社を設立し、人工授精で産んだ息子２人を育てた。２０１３年には映画賞の受賞スピーチでレズビアンであることを公表。今年のアカデミー賞でも助演女優賞の候補になるなど、闘う才女は話題がつきない。 ■ジョディ・フォスター　１９６２年１１月１９日生まれ、６１歳。米ロサンゼルス出身。 ■垣井道弘（かきい・みちひろ）　１９４６年、広島県三原市生まれ。明治大学文学部卒。週刊誌「女性自身」の記者を経て、映画評論家になる。著書に「ＭＩＳＨＩＭＡ」（飛鳥新社）、「今村昌平の製作現場」（講談社）、「ハリウッドの日本人」（文芸春秋）、「緒形拳を追いかけて」（ぴあ）などがある。