【首都大学リポート】リーグ戦で奮闘する桜美林大の1年生左腕・根岸大和「チームの勝利につながるピッチングがしたい」
指揮官からも大きな期待
【10月12日】首都大学一部リーグ戦 城西大6-2桜美林大 (城西大2勝1敗) 首都大学リーグ第6週1日目。今季はまだ勝ち点を挙げることができずに最下位と苦しんでいる桜美林大。1勝1敗で迎えた負けられない城西大3回戦で、先発のマウンドに立ったのはルーキー左腕・根岸大和(1年・藤嶺藤沢高)だった。 【選手データ】矢澤宏太 プロフィール・通算成績・試合速報 根岸は藤嶺藤沢高の出身で、日本ハムにドラフト1位で入団した矢澤宏太は高校の先輩にあたる。「自分はボールを動かしながら打ち取っていく投手で、矢澤さんとはピッチングスタイルは違っていますがスライダーを武器にしているところは同じですし、あこがれの存在です」。大学は矢澤も在籍した日体大へ進むことも考えたというが、同じ首都大学リーグに所属している桜美林大へ。 「桜美林大はのびのびとした雰囲気ですし、自主性を重んじていて学生自身が考えて野球をするところなので『自分に合っている』と思って進学を決めました」 大学に入った当初から、藤原悠太郎監督に「楽しみな新入生」として名前が挙げられていた根岸。すぐに頭角を現すと、1年生ながら今春のリーグ戦に早くも出場。初登板の日体大1回戦では三番手として7回から登板。3イニングを1安打無失点に抑えると、打線が逆転して初勝利。東海大1回戦でも5回から救援のマウンドに上がると4イニングをゼロに抑えて、2勝目を手にした。 「高校時代の金属バットとは違って、大学では木製バットを使うので、ツーシームのような小さな変化球を練習しました。それが上手くハマってくれて、ピッチングの幅が広がっています」。この夏は走り込みに励んだ。「下半身がまだ強くないので、ポール間を往復して走りました。そのおかげでピッチングの安定感は増したと感じています」
今後も見据えてスタミナ増
この秋のリーグ戦では開幕週から1回戦の先発を任され、日体大戦は6イニング。帝京大戦も6イニングを投げて得点を許さず、続く城西大戦の4回に失点するまで、デビューからなんと23イニング連続無失点を記録した。 「1回戦の先発なので『なんとか先勝できるように』と思って投げているのですが、なかなか勝ちにつながらなくて」と、好投も報われずに今季は未勝利。それでも、藤原監督は「根岸は1年生らしくないマウンドさばきでしっかりとボールを操れますし、緩急も使える。精神的にも成熟しています」と評価しており、この日の城西大3回戦でも先発に指名。 その期待に応えるように、根岸は初回を3者三振に切って取り最高のスタートを切った。続く2回表は「初回が良かった分、気持ちがゆるんでボールが高めに浮いてしまいました」と近藤央典(4年・横浜創学館高)にレフトポール際へ先制の2ランを浴びてしまったが、その後は立ち直り、5回を投げて失点はその2点のみ。7個の三振を奪い「フォークが思ったところに投げられました」とワンバウンドのボールを振らせるシーンが目立った。 来年のドラフト候補で5割近い打率を残している松川玲央(3年・関西高)からも「スライダーを待っているところに上手くストレートが使えました」と真っすぐは130キロを少し超えるくらいの球速だったが、巧みな配球を駆使して2三振(1四球)。シーズン通算でも28回を投げて26奪三振で、防御率も1.61と好成績を残している。ただ、根岸の降板後も失点を重ねた桜美林大は9回の反撃も届かずに2対6で敗戦。今季初の勝ち点を奪うには至らなかった。この日の第2試合で帝京大が日体大2回戦での勝利を受けて、桜美林大の6位が決まった。 根岸はまだ1年生ということもあって現在は無理をさせることなく、5回から6回でマウンドを降りているため、今後を見据えて「長いイニングを投げられるように、この冬も走り込んでスタミナをつけたい」と話している。まずは今秋の一部残留を死守するために「自分の成績よりも、相手打線をゼロに抑えることでチームの勝利につながるピッチングがしたい」と力を尽くすことを誓っている。 文=大平明
週刊ベースボール