【山口県】徳山初の老健が29年の歴史に幕 地域福祉への影響懸念
山口県周南市孝田町でJCHO(独立行政法人地域医療機能推進機構)が運営する徳山中央病院附属介護老人保健施設(100床)と、併設する定員30人のデイケアが6月末で閉所することが分かった。 同施設は1995年5月に開設。国が全国へ介護老人保健施設(老健)の設立を推し進める中、旧徳山市で開設された初の老健。運営に同法人の前身である全国社会保険協会連合会(全社連)の徳山中央病院が手を挙げた。 周南医療圏の高度急性期を担う徳山中央病院に併設され、医療面でもケアが期待できる施設として、地域住民から重宝されてきた。 閉所理由は4月に施行される医師の働き方改革などで医療資源を病院へ集中させる必要が生じたことや、新型コロナウイルス感染症による病床稼働率低下に伴う経営難も一因にあげている。 同施設の施設長を務める徳山中央病院の三井博副院長は「当院としても苦渋の決断。皆さんにご心配、ご不便をおかけして申し訳ない」と悔やみ、今後は急性期医療で地域のニーズに応えていきたいと話している。 老健は病院などの医療機関から、自宅や特別養護老人ホームなどへ移るまでの中間受け入れ施設の役割を持ち、医師による医学的管理の下での看護・介護ケアやリハビリによって、高齢者の自立支援、在宅復帰を目指す施設。 同市が有する同形態の施設は554床。今回の閉所により市内の老健は454床になる。市は2024年度から26年度にかけての高齢者プランの計画策定を進めているが、本事案によって市の地域福祉へどのような影響がでるのか注目したい。 現職員は病院へ配置転換することで、今回の閉所による解雇は無いという。 2月中旬時点で入所者の約半数は転所先を調整中で、登録者が73人いるデイケアは8割の利用者が次の施設を調整中。