「親子だったの!?」の声多数。朝ドラ『虎に翼』俳優&59歳コワ面俳優の“自然すぎる関係性”
見開く目が瓜二つ
極めつけは、英雄が2024年4月22日にアップした投稿。「日本統一」シリーズ撮影中のオフショットを素材に若返りアプリを使う。若返った英雄の姿は、「アプリで若返りを押したら太賀になった」というキャプション通り、太賀と激的に似ている。 別に若返らなくてもそっくりなのに、アプリ機能を使うとここまで瓜二つになる。見た目だけじゃなく、演技面でも似てるところがある。相手に対してパッと見開く、その目。 代表すべきは、北野武監督によるサーガ「アウトレイジ」シリーズ。第1作『アウトレイジ』(2010年)で荒くれヤクザ・木村(中野英雄)が、北野扮する大友組組長に顔を切りつけられる場面がある。メンチを切る木村が我慢比べのように目の中央に力をチャージする。英雄屈指の名演。
独自に拡張させる仲野太賀
同作ラスト、刑務所に入所した大友を待ち構えていた木村が、大友の横腹を一突き。特に目を血走らせるでも、見開くでもなく、刺したあと、ただ静かに佇む。静と動のダイナミックな振り幅を特徴とする北野作品ならではの演技である。 このように英雄の演技は、内に濁流のような勢いがうずまくのに、それをやたらめったらアウトプットしない。目を見開く瞬間は、与太者の凄み満載だけれど、控えめといえば控えめ。 そんな父の静かなるダイナミズムを踏襲しながらも、独自に拡張させるのが、仲野太賀である。彼もまた見開く目が圧倒的アピールポイントになる俳優なのだが、太賀の場合は、見開くどころか、カッと開くといったほうが表現が的確だろう。
親子二代にわたる伝統芸
太賀は、出演作で必ず目をカッと開く。黒目がちな瞳を白目ぎりぎりまで広げ、演じるキャラクターのエモーションとはまた別次元で驚嘆を表現している。何をそんなに驚く必要があるのかと思ってしまうくらい。 近作だとCM作品だが、サントリーの「-196℃ 瞬間凍結 <無糖レモン>」で「ムトゥ」と連呼する、まんまる目の決め顔。多部未華子扮する塾講師が男女4人組で奇妙な共同体を形成する『いちばんすきな花』(フジテレビ、2023年)での男友達役や池松壮亮主演の『季節のない街』(ディズニープラス スター、2023年)でもエモーショナルなかっぴらき具合がいい。 あるいは、文頭で紹介した『虎に翼』第4週第20回。寅子の父・猪爪直言(岡部たかし)が逮捕され、途方に暮れる寅子を優三が励ます。励ましたいのに、腹痛でお腹がギュルギュル。必死にこらえるが、吹き出す。その瞬間のかっぴらいた目の実に雄弁なこと。 もはや顔芸の域ではあるものの、これが父・英雄の見開きを拡大、誇張したものと解釈すると、親子二代にわたる伝統芸というのか、名人芸の伝承の一例ともなるだろう。 <文/加賀谷健> 【加賀谷健】 音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu
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