死刑制度「廃止含め議論を」 遺族や元検察トップ、法学者らが提言
与野党の国会議員や犯罪被害者遺族、元検事総長らが参加した「日本の死刑制度について考える懇話会」(座長=井田良・中央大大学院教授)が13日、政府への提言を報告書にまとめた。現在の制度には放置が許されない多くの問題があり、「現状のままに存続させてはならない」との認識を示した。そのうえで国会や政府のもとに、制度の廃止を含む「根本的な検討」のための会議体を設けるよう求めた。 【写真】執行2日前、拘置所長が死刑囚とのやりとりを録音していた ■「存置派と廃止派、歩み寄り試みた」 結論を出すまで、死刑執行の停止も検討すべきだとも提起した。近く政府に提出する。13日に記者会見した井田座長は「これまでの死刑を巡る議論は、存置派と廃止派が意見をぶつけ合っていた。今回は、どれだけ歩み寄れるかということを試みた」と総括した。 懇話会は、日本弁護士連合会の呼びかけで今年2月に設立された。確定死刑囚の再審無罪を含め冤罪(えんざい)事件が絶えないなか、日弁連は2016年に初めて「廃止」を掲げる宣言を採択。宣言では終身刑の導入検討も求めたが、政府内で議論が深まらないことを踏まえ、さらに幅広い立場からの提言をめざした。
朝日新聞社