朝ドラで“刑事もの”が誕生する可能性も? 『ブギウギ』CPが明かす“誘拐事件”週の手応え
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』が現在放送中。“ブギの女王”と呼ばれる笠置シヅ子をモデルに、大阪の銭湯の看板娘・花田鈴子=福来スズ子(趣里)が戦後のスターへと上り詰めていく姿を描く。 【写真】脚本・足立紳が推薦した小田島役の水澤紳吾 スズ子たちが新しい家に引っ越して5年。なかなか友達ができない娘の愛子(このか)をスズ子が心配する一方で、愛子は母親に反発することが増えていた。そんな中、愛子が誘拐騒動に巻き込まれてしまう。 ここで登場したのが刑事・高橋役の内藤剛志。内藤といえば『警視庁・捜査一課長』(テレビ朝日系)、『科捜研の女』(テレビ朝日系)をはじめ数々の作品で刑事役を演じており、制作統括の福岡利武は「観る人によっては、某民放局かと思うようなところも含めて楽しんでいただければと思い、キャスティングさせていただきました」と遊び心からの起用であることを明かす。 現場での内藤は、楽しく撮影に臨んでいたといい、「ある種、得意の領域でもあるわけで、スタッフ、趣里さんともよくお話しされていましたし、内藤さんの意見やアドリブもたくさん入っております」と打ち明ける。 「もちろんお芝居は確かな方ですし、自然と“刑事もの”の空気感を作ってくださるので、趣里さんもすごくリラックスしていらっしゃいました。スズ子のうろたえ方、慌て方など、内藤さんがいろいろなアイデアを出されるので、しっかりと任せられる感じだったと思います」 印象的だったのは、取調室でのカツ丼シーン。ベタな流れかと思いきや、高橋自らが食べるという衝撃の展開に、「脚本の足立(紳)さんの大いなるユーモアですが、僕も台本を読んでひっくり返りました。スタッフ全員、次の展開がわかっているとはいえ、撮影現場でもだいぶ不思議な空気になりました。だって、刑事だけがカツ丼を食べるなんて見たことがないじゃないですか(笑)」と本音をこぼす。 さらには「警察指導の方に『当時はこんな展開があるんですか?』と聞いたら、神妙な面持ちで『なくはないですね』とおっしゃっていました。実際、取調べが長引いた場合に、被疑者から料金をもらった上で食事をすることはあるらしいんです。でも、『この展開は見たことがありませんね』と言いながら、楽しそうに見ていらっしゃいました」と振り返った。 なお第113話で、愛子役が小野美音からこのかへとバトンタッチ。福岡は「自然な演技がいいなと思いました。お芝居も安定していますし、オーディションで最初に見たときから“愛子っぽさ”があるなと。小野さんから、すごく良い受け渡しができたんじゃないかなと思います」と、このかの芝居を評価する。 そんな愛子が、初めて心を開いた友人・小田島一を演じるのは井上一輝。同じくオーディションでの抜擢で、「明るさと、芯の強さがあるところが印象的でした。台本を深読みしすぎると大変な役どころですが、自然に演じていますし、貧しい中でも堂々としているところが逆にいいなと思っています。実は、このかさんとももともと知り合いだったようで、それもあってうまく馴染めたのではないでしょうか」とした。 誘拐未遂騒動は史実に基づいたものだが、“犯人が娘の友達の父親だった”というのはドラマのオリジナルストーリー。その狙いについて福岡は「まずは、愛子とスズ子の“母と娘の話”に持っていきたかった。それから今後、おせっかいのスズ子は小田島ともまた関係ができていくんです。普通は脅迫してきた人を受け入れるのは難しいと思いますが、そこでスズ子がどんな選択を取るのかも見どころです」と説明する。 「小田島役の水澤(紳吾)さんは足立さんの推薦でしたが、僕もいろいろな作品を観て、漂うオーラや憎めなさがいいなと思いましたし、実際、『こんなハマリ役はないのではないか』と。水澤さん自ら『痩せることが大事だ』と体重を落として撮影に臨まれて、貧しさを表現してくださいました」 内藤の出演にはじまり、演出も含めて“刑事もの”と化した第24週。福岡は「朝ドラで刑事ものは今までありませんが、面白いんじゃないかと思いました。ぜひ企画してみたいですね」と手応えを語る。一転、次週には若手歌手・水城アユミ(吉柳咲良)が初登場。「スズ子との不思議な縁もありつつ、世代交代といった新しい展開に突入します。スズ子のまた違う魅力が見えてくる、とても楽しい週になると思います」と呼びかけた。
nakamura omame