バイデン米大統領、選挙戦でTikTok活用 禁止法成立後も
米国のジョー・バイデン大統領は今週、安全保障上の懸念から、中国発の動画投稿アプリ「TikTok」の同国内での利用を禁止する法案に署名した一方で、自らの大統領選挙運動では同アプリを活用し続けている。 バイデン陣営はフォーブスの取材に対し、TikTokは「有権者に会う」ための手段であり、コンテンツが有権者に閲覧されていることを確認するために必要だと説明。勝敗の懸かった選挙戦で「若い有権者に訴え掛けるためには、あらゆる手段を使う」と明言した。 同陣営は、TikTokで強化されたセキュリティー対策を使用していると述べたが、「安全上の理由から」詳しくは説明できないとした。バイデン陣営のTikTok・アカウントのフォロワー数は、24日時点で約30万6300人に上っている。 バイデン大統領は24日、TikTokを運営する中国企業バイトダンスが同アプリの米事業を1年以内に売却しなければ米国内での利用を禁止する法案に署名した。この法案は、バイトダンスがTikTokの閲覧履歴や位置情報などの利用者情報を中国政府に提供する可能性があるという安全保障上の懸念から提案されたもの。これに対し、TikTokは中国政府に利用者情報を提供したことはなく、今後も提供することはないと否定している。 バイデン陣営は今年2月、TikTokのアカウント「@bidenhq」を立ち上げた。他方でバイデン大統領はそれより先に、安全保障上の懸念から連邦政府が所有する電子機器の大半で同アプリの使用を禁止する法案に署名していた。アカウント開設に関する米NBCニュースの取材に対し、バイデン陣営は当時、若い有権者に呼び掛けるための手段だと答えていた。 米国では、TikTokを巡る安全保障上の懸念や青少年の精神衛生に与える影響を理由に、多くの議員が同アプリの禁止を求めてきた。TikTokを利用していないドナルド・トランプ前大統領は在任中の2020年、米事業を45日以内に売却しなければ米国内での同アプリの使用を禁止する大統領令に署名したが、この命令は裁判で阻止された。トランプ前大統領は最近、立場を一転し、TikTokの禁止に反対すると表明した。 現在では米国の多くの州が公用端末でのTikTokの使用を禁止しており、中には同アプリ自体を完全に禁止しようとしている州もあるが、TikTokや利用者からの異議申し立てにも直面している。 今回のTikTok禁止法が成立したことで、法廷闘争はいよいよ避けられなくなってきた。TikTokはソーシャルメディア(SNS)への投稿で、「米国のデータを安全に保ち、外部の影響や操作から当社の基盤を保護するために数十億ドル(約数千億円)を投じてきた」と述べ、法廷で争うと宣言した。
Molly Bohannon