「男女平等ではない」 東海道・山陽新幹線「女性専用トイレ」設置に賛否の声! 「男性客8割」説はどこまで本当なのか?
筆者への反対意見
しかし、Xでの投稿やネットニュースに寄せられたコメントには、反対意見も多く見られる。特に、東海道・山陽新幹線を利用していると思われる男性の意見が共感を呼んでおり、主な懸念は 「今でもトイレが空くのを待つことがあるのに、今後はさらに待ち時間が増えてしまうのではないか」 というものだ。 「男性利用客が大多数なのに」 「男性利用客が8割なのに」 これでは女性優遇なのではないかという不満も多い。 「女性専用トイレをつくるのであれば、男性専用トイレもつくらないと平等ではない」 という意見が広がっており、特に男性用(小用)のトイレはあっても、男性専用の大用トイレが必要だとの主張が多い。さらに、 「女性が共用トイレを使っていたら、男性が使用できるトイレ(大用)が無くなってしまうので、不平等になるのではないか」 といった指摘があり、この意見を支持する声も存在する。そのため、男性専用トイレを空いているスペースに増設すべきだという意見も出てきている。
新幹線男女比率の真実
女性専用トイレが平等かどうかを議論するには、新幹線の乗客の男女比率を把握することが重要だ。しかし、多くのネットニュースでは「女性客が増えている」といった点にとどまり、産経新聞のように「半数近くまで」と具体的な数字を示す報道は少ない。 そのため、ネットでは「男性客の方が多いのに」「男性8割なのに」といった反論が目立つ。このデータは、JR東海エージェンシーによる「新幹線ユーザープロファイル調査2023」に基づいている可能性が高い。この調査では、新幹線利用者が ・男性:81.2% ・女性:18.8% とされている。 ただし、これはインターネット調査に基づくもので、東海道新幹線や山陽新幹線を月に1回以上利用する人を対象にした1743件のサンプルから得られたデータだ。調査の目的はビジネスパーソンの動向を把握することであり、実際の男女比率を明確にすることではない。そのため、月に1回以上新幹線を利用するのは主にビジネス利用者や観光客の一部に過ぎず、年に数回程度の利用者も多い。 ネットでコメントする人々は、調査の詳細を確認せずにデータを使っているのではないだろうか。もし自分が月に1回以上出張で新幹線を使い、男性が多いと感じたとしても、その翌日に乗車すれば男女比率が大きく異なることもある。 最近、上越新幹線に乗車した際、新潟で男性アイドルのコンサートがあったため、車内はほとんど女性ファンで占められていた。このような事例は珍しくなく、全国のアリーナやドームでは、アイドルやアーティストのコンサートが一年中開催されており、推し活ブームが新幹線の女性利用者増加に影響を与えている。 また、多くのネットニュースでは「共用トイレの半分を女性専用に」という点が強調されているが、男性用(小用)のトイレについてはほとんど触れられていない。女性専用トイレの比率が「3割」になることについて言及している報道もほとんどなく、これらの情報の取り扱い方が世論を誤って誘導する可能性があると感じる。