未調査断層の早期評価を 全国知事会議閉幕、新田富山県知事の要望を提言に反映
福井市で開かれた全国知事会議は2日、大規模災害への対応を強化するとした提言などをまとめ、2日間の日程を終えた。新田八朗富山県知事は、評価が進んでいなかった断層が能登半島地震の震源となって甚大な被害が出たとし、まだ調査されていない断層を早急に調べるよう国に要望。提言に盛り込まれた。 新田知事は、断層調査▽被災者の生活再建支援▽液状化被害への中長期的な財政支援▽被災者受け入れのガイドライン整備-の計4点を求め、断層調査について「評価が進んでいない断層や複数の断層が同時に動くケースも想定し、対策を考えていく必要がある」と強調。国に対し評価が未実施の断層を早急に調べ、観測体制を充実させるよう訴えた。 提言には、調査が遅れている日本海側や南西諸島の活断層の評価の早期実施、能登地方を震源とする群発地震が日本海沿岸地域に与える影響の分析、地震や津波の観測体制を強化、全ての地域を対象とした広域的な津波予測システムの整備などを求める文言が記載された。
他の知事からは、被災者や支援者のサポート充実を求める意見が上がった。石川県の馳浩知事は、能登半島地震後に全国から集まった支援者が車中泊など過酷な環境での活動を強いられたとし、道の駅にキャンピングカーやトレーラーハウス、トイレトレーラーを配備するよう要望した。 徳島県の後藤田正純知事は、4月に台湾で地震が起きた際、速やかに避難所が開設され、トイレやキッチン、ベッドが提供されたとし「(日本では)いつまでも雑魚寝でいいのか」と疑問を呈し、避難所の環境改善への支援を促した。 会議では国への要望を計24の提言・宣言にまとめた。来年は青森市で行う。 人口減克服への緊急宣言、小池氏の反対意見追記 会議では、初日に小池百合子東京都知事と他の知事の意見が食い違い、結論を持ち越した「人口減少克服に向けた緊急宣言」を決議した。焦点となった人口や産業の一極集中を巡る文言を削除せず、都の意見を追記する形となった。
宣言は初日に決議する予定だった。小池氏が「人口や産業が特定の地域に集中」との文言について、一極集中と日本全体の人口減少を関連づけるべきではないとして削除を求めていた。 地域の創意工夫など「総力を挙げて人口減少への構造的潮流を食い止める」と明記。国に人口戦略を総合的に推進する組織、体制を整えるよう求めるとともに「人口減少問題に47人の知事が一致結束して立ち上がることとした」などと決意を示した。