〈名古屋3億円結婚詐欺〉「姫、世界一愛してる」“偽社長”&“偽秘書”の連係で詐欺ざんまい…ノウハウを綴った刺青男の“ミッションノート”も
「財布を紛失した」と小芝居。「3週間だけ1000万円を貸してくれるとありがたい」
江尻容疑者のアプローチに惹かれたCさんは、当時「こんな優しい男性が世の中にいるのか」と感動したという。だが、交際1ヶ月の記念に計画していた旅行中に“事件”が起こる。 この旅行には、江尻容疑者と武田、さらに今回逮捕されていない「男性秘書役」の浅野という人物も同行するという、計4人での1泊2日の旅だった。 「江尻は宿に向かう前に、三重県のアウトレットモールで私の服などいろいろな商品を買ってくれました。そして江尻がトイレから戻ってきたとき、武田が『社長、カバンは?』と驚いた声を上げたんです。江尻はクリスチャン ルブタンの財布を脇に挟んでトイレに行ったのですが、それをトイレに忘れた、という芝居が始まったんです」 その後、いったん車に戻った4人。そこで、こんな小芝居が始まったという。 「武田が『社長、3日後に決済予定の1億円はどうしますか』と言うと、江尻が『口座が凍結されたら、決済ができなくなるな』と返答しました。その後、江尻は武田に『専務に電話しろ。俺は金を貸してくれる人を探す』と指示を出していました。 さらに『このままだとプロジェクトがパーになる』などと、目の前で逼迫した会話を続けられたんです」 「ただごとではない」と感じたCさんは、旅行の中断を提案したが、なぜかそのまま宿に向かうことになった。その道中でも、金の工面をどうするかといった会話が続いていたという。 「武田やもう1人の秘書役があれこれと電話をするなか、『とりあえず3000万円は確保できた』という話になりました。その流れで、私に『3週間だけ1000万円を貸してくれるとありがたい』と言ってきたんです。この時点で私は江尻を信頼し、好意も持っていたので、疑うことなく了承しました」 Cさんは旅行から帰ったあと、口座に入れていた貯金800万円と、定期積立を解約して用意した200万円を江尻容疑者に渡した。その際、借用書などは作成しなかったという。 「その後、江尻から『免許証を作り直しに行ったら、千葉県警の刑事が出てきて、落とした通帳が詐欺に利用されて口座が凍結した。怪しい通帳だと疑われているから、弁護士を立てた』と東京の実在する弁護士のホームページも見せながら説明されました。 そして『まだ口座が凍結したままだから、弁護士費用の500万円を貸してほしい』と言われ、私はまた貸してしまったんです」