「内乱性不眠症」で夜を明かした韓国市民たち「スカッとした」
早朝から令状執行に市民の関心集まる 「歴史的場面を見届けたかった」 「80年生きてきてこんなに嬉しいことは初めて」 「今日休暇なのに朝6時からニュースを付けた」 「逮捕は始まりに過ぎず、牽制を続けなければ」
「朝4時に起きてすぐ生放送を見ました。どうしても眠い時は目を閉じてイヤホンで音だけ聞きながら堪えました。尹錫悦(ユン・ソクヨル) 大統領が逮捕される歴史的場面をはっきりと見届けたいと思いました」 現職大統領が憲政史上初めて捜査機関に逮捕された15日、未明と予告された令状執行時間のため、市民たちの1日も普段より早く始まった。前日からソウル龍山区漢南洞(ハンナムドン)の尹大統領官邸前で夜を明かした市民たちは、尹大統領へと向かう阻止線が一つずつ突破される度に歓声を上げ、グループ「BSS(SEVENTEEN)」の「ファイティング(Fighting) 」を一緒に歌った。現場に駆け付けられなかった市民たちも明け方にアラームをセットして生放送を見届けたり、ニュース速報の更新ボタンを繰り返し押したという。 午前4時に起きて押し寄せる睡魔と戦いながら「逮捕生中継」を見届けたという会社員チャン・ヘユンさん(25)は、韓国民主主義の歴史に記録される場面を「どうしても見届けたかった」としながらも、「(共助捜査本部が)阻止線を一つずつ通過する度に、一人の不服(逮捕執行拒否)でどれだけ多くの人々が苦労し、社会的資源が無駄になっているのかと思うと、残念な気持ちになった」と語った。午前3時30分ごろアラームをセットして起きたというKさん(34)も「1回目の逮捕の試みが失敗して以来、全神経が令状執行に集中していたが、共助捜査本部の戦略通りにうまく進んでいるようで安心した」と話した。 尹大統領が逮捕された同日午前10時33分、官邸前の逮捕要求集会では、弾劾訴追案が可決された先月14日の国会前と同様に、少女時代の「Into The New World」が鳴り響いた。「前日終電に乗って午前1時に到着して徹夜した」という20代も、「腹が立って、午前4時半に官邸前に駆けつけた」という60代も、「勝った!勝った!」と叫びながら抱き合って涙を流した。漢南洞を通る市内バスの中で、この姿を見守っていた市民たちも親指を上げた。シム・ヨンテクさん(80)は「80歳まで生きている中で、こんなに嬉しいことは初めて」としたうえで、「12・3内乱事態以後、大統領が国民に対し分裂を図る姿が何よりも懸念されたが、もうそんな懸念が解消された」と語った。家と会社でニュースをを聞いた市民たちも、内乱事態以後、1カ月余り続いた懸念を多少なりとも振り払ったと話した。会社員のKさん(28)は「今日から休暇だが、朝6時に起きてまずニュースをつけた」とし、「43日間国を混乱に陥れた尹大統領がついに逮捕されて、スカッとした」と話した。 市民たちは尹大統領の逮捕が「終わりではなく始まり」であることも忘れていない。至難な司法手続きと弾劾審判が残っているうえ、内乱事態が民主主義に残した傷は簡単には癒えない。この日、官邸前で会った就活生のハン・ドヨンさん(24)は「逮捕は(尹大統領に)責任を問うための始まりに過ぎず、終わりではない。尹大統領が罷免され処罰を受けるまで、引き続き市民の関心と牽制が必要だ」と話した。チェ・ヘスさん(20)は、「市民が民主主義を熱望し、連帯した過程を忘れないでほしい。広場に出てきた社会的弱者の声を記憶し、互いに関心を持つ社会になることを願う」と話した。 市民社会団体も一斉に「市民の勝利」と歓迎の意と共に、「民主主義の回復」に向けた道を考えなければならない時だと強調した。「参与連帯」はこの日声明を発表し、「内乱首魁の逮捕は内乱を完全に終結させ、民主主義を回復するのに重大な転換点になるだろう」と述べた。1500余りの市民社会団体が集まった「尹錫悦即刻退陣・社会大改革非常行動」は、「尹錫悦は逮捕されたが、内乱の終結と民主主義回復、社会大改革を望む主権者の要求と行動はこれから始まる」と明らかにした。 裁判所によって発付された逮捕状の執行を頑強に拒否してきた尹大統領によって、一方は「逮捕要求」を、一方は「令状無効」を叫び、真っ二つに分かれ激しく対立した漢南洞大統領官邸前は、この日午後から再び普段の姿に戻った。逮捕を求めるために集まった市民たちは「お疲れ様」という挨拶を交わしながら日常に戻り、尹大統領支持者たちは「公捜処を許せない」として京畿果川の公捜処庁舎へと足を運んだ。 尹大統領の逮捕直後、一部の大統領支持者らが漢南大路に横になったり、警察バスの下に潜り込もうとする騒ぎが起きた。ただし、同日の令状執行の過程で特に懸念されていた市民間の大きな衝突は起きなかった。警察と消防の説明によると、この日官邸前で警察に連行された市民はいなかった。病院に搬送された負傷者も 1 人にとどまっており、足の甲の痛みを感じた程度の軽傷者だったという。 コ・ナリン、パク・コウン、コ・ギョンテ、イム・ジェヒ、キム・ガユン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)