チャビ・エルナンデス(C)Getty Images

バルセロナのチャビ・エルナンデス監督が今季限りでの退任を撤回し、来季もチームを率いることになった。『ムンド・デポルティボ』や『マルカ』など、スペインメディアが一斉に報じている。 今年1月末にチームの低調ぶりと自身の疲弊を理由に、今季限りでの退任を発表したチャビ監督。しかしながらバルセロナのジョアン・ラポルタ会長やデコSD（スポーツディレクター）は、その後も同指揮官に信頼を寄せていることを公言し続けるなど、2025年まで結ぶ契約の全うを希望していた。そして現地時間24日午後、チャビ監督はデコSDとともに練習場からラポルタ会長の自宅へ向かい、そこでの話し合いによって来季もチームを率いることを承諾。ラポルタ会長は25日に公の場で説明を行う予定だ。 『ムンド・デポルティボ』によれば、ラポルタ会長はチャビ監督に対して「これがベストの選択」と言って慰留を行なった模様。同会長は“トップ”と呼ばれる監督を連れてくることができない現状で、若手選手たちを積極的に登用して、未来のバルセロナの基礎を築くチャビ監督にチームを任せる続ける考えを固めていたようだ。またMFイルカイ・ギュンドアンらベテラン含めた選手たちもチャビ監督を支持していたことも鍵を握っていたという。 またチャビ監督のコーチングスタッフについて、デコSDが同指揮官の兄でもあるオスカル・エルナンデス助監督やフィジカルコーチの交代を求めているとも噂されたが、『ムンド・デポルティボ』によれば新たな理学療法士が加わる可能性はあっても、そうした“劇的なスタッフの変更”を行う予定は現時点ではないそうだ。 加えて、ラポルタ会長とデコSDはチャビ監督に対して、今夏にラ・リーガのサラリーキャップ超過の問題が解消され、チームを改善する補強を行える見込みと伝えた模様（超過している場合には選手放出で余裕ができた分の50～60％のみしか移籍金や年俸に充てられない）。その一方でチームの重要な選手たちについては、昨夏のFWウスマン・デンベレ（現在パリ・サンジェルマン所属）のように選手本人が移籍を求めない限り、誰も売却や放出をせずチームにとどめる方針のようだ。 なお今季のバルセロナは、チャビ監督の退任発表後に勢いを取り戻し、一時期は13勝無敗（10勝3分け）という成績を残した。チャビ監督は「この効果を狙っていた」とも話していたが、しかしその後チャンピオンズリーグではベスト8でパリ・サンジェルマンに敗退に追いやられ、ラ・リーガでは第32節のクラシコに敗れて首位レアル・マドリードにほぼ逆転不可能な勝ち点11差をつけられている。2シーズン前にスペイン・スーパーカップとラ・リーガ優勝を成し遂げたチャビ監督は、今季無冠の悔しさを乗り越え、来季タイトルを狙うことになる。