【高松宮記念】「オーシャンSを外枠で負けた馬」は複勝回収率611% データで導く穴馬候補3頭
スプリントの強豪ひしめく香港からの刺客 ビクターザウィナー
2頭目はビクターザウィナーを取り上げる。香港からの遠征馬で、前走はGⅠのセンテナリースプリントを逃げ切った。 「スプリント大国」とも言われる香港競馬はその異名にたがわず短距離馬の層が厚い。しばしばJRAにも遠征してきては、日本馬相手に互角以上の戦いを見せてきた歴史がある。 1986年以降のJRA芝1200m重賞において、香港調教馬の成績は【3-2-1-13】勝率15.8%、複勝率31.6%、単回収率198%、複回収率136%。機械的に単複を買うだけでプラス収支だった。 特にアツいのは「日本初出走」のレースで【2-2-1-5】勝率20.0%、複勝率50.0%、単回収率358%、複回収率247%とインパクト大の数字だ。日本のファンに名が売れていない状態の方が馬券妙味にも富んでいる。 本邦初出走のビクターザウィナーは昨年の香港スプリントで4着。直線で一度は抜け出す場面を作り、スプリンターズS2着マッドクール、同4着ジャスパークローネには0.4秒先着を果たした。ホーム、アウェーの差があるとはいえ、単純計算ならママコチャやナムラクレアの上を行く可能性がある。それでいて伏兵の一角というオッズなら、握ってみるのも一興だろう。
馬場悪化なら高齢馬に妙味あり ロータスランド
ラストは7歳牝馬のロータスランドを選んだ。現時点で日曜の中京競馬場は雨の予報。もし予報通り馬場が渋るなら、この馬を後押しするデータがある。 高松宮記念(1200mのGⅠとなった96年以降)で7歳以上馬の成績は【4-1-5-106】複勝率8.6%と正直よくない。スピード能力は年齢とともに衰えやすく、短距離GⅠともなると若い馬に押されるのは自然の摂理だろう。 ところが道悪になれば話は変わる。前記のうち、良馬場だと【2-1-2-68】複勝率6.8%、複回収率37%だが、稍重~不良馬場なら【2-0-3-38】複勝率11.6%、複回収率148%。馬場が渋ってスピードが要求されなくなると、高齢馬が逆に穴候補として浮上してくるのだ。 今年の出走馬で道悪歓迎の7歳以上馬といえばロータスランドを置いて他にいない。稍重~不良馬場【3-2-0-1】の実績がキラリと光る。 2走前の阪神Cでは1400mとはいえ現スプリント王者のママコチャとハナ差。前走京都牝馬Sは外伸びの馬場で後方からイン突きを敢行し、上がり最速の6着だった。まだまだ大きな衰えは感じない。百戦錬磨の名手・岩田康誠を鞍上に迎えて態勢は万全。怖い怖い存在だ。 <ライタープロフィール> 鈴木ユウヤ 東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、X(Twitter)やブログで発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。
鈴木ユウヤ