正力松太郎賞、王貞治座長〝裁き〟で一件落着 日本シリーズの両球団監督推し合う異例の展開 DeNA三浦監督選出「下剋上で球界盛り上げた」
DeNAを26年ぶりの日本一に導いた三浦大輔監督(50)が7日、球界最高の栄誉とされる「正力松太郎賞」に選出された。東京都内で開催された選考委員会では、日本シリーズで対決した両球団所縁の委員が互いの監督を推し合うという異例の展開となった。 【写真】DeNAの東に〝侮辱発言〟をしたソフトバンクの村上コーチ 敗れた側の王貞治座長(84)=ソフトバンク球団会長=は敵将の三浦監督に関して「やっぱり勝負の世界というのは勝たないといけないのが鉄則。私は相手側チームにいたものですから、日本シリーズでの強さを実際に自分の目で見て、肌で感じた」と2連敗からガラリと流れを変えた采配を高く評価した。 逆にDeNAの元GMで、現在は親会社でフェローを務める高田繁選考委員(79)が「ペナントレースの内容を重視すべき。監督1年目のシーズンで貯金『42』と圧倒的な力を発揮したことも重要」といった意見を出し、小久保裕紀監督(53)をプッシュ。日本シリーズで争った両球団の重鎮が互いの監督を推薦しあった。 ■「下克上で球界盛り上げた」 だが、ペナントを重視するのであれば同じく1年目でセ・リーグを制した巨人・阿部慎之助監督(45)が選出されないこととの整合性の問題もあり議論百出。2010年のロッテ下克上のときも当時の西村徳文監督が受賞しており「日本一になったのはベイスターズで、下克上で球界を盛り上げた」と最後は〝王裁き〟でまとめ上げた。 米大リーグでドジャース移籍1年目から2年連続本塁打王に初の打点王だけでなく「50本塁打&50盗塁」を達成した大谷翔平投手(30)には2年連続3度目の特別賞が贈られた。日米球界で歴史を作った偉業に正力賞そのものは値しないのか? 王座長は「いま彼に正力賞をあげちゃうと10年連続で大谷になっちゃう」と大笑い。実は正力賞の内規で「対象はセ・パ両リーグの競技者」と決められているため、選考の対象ではなく、大谷以外では2004年に当時マリナーズのイチローが特別賞を受賞した例が1度あるだけにとどまっている。 (片岡将)