築116年の日本家屋が新たにオーベルジュとしてオープン。和華蘭文化の息づく長崎で新旧もつなぐ〈陶々亭〉
山と海に囲まれた食材の豊かさをオーセンティックなイタリア料理に
食事が魅力でもあるオーベルジュのレストラン〈HAJIME〉のディナーでは、地元食材を使ったオーセンティックなイタリア料理が提供されます。 イタリアン歴25年のシェフ、高坂二木(たかさかにき)さんはイタリアのナポリで修業後、主に大阪で腕を振るってきました。新たに長崎のオーベルジュの厨房を指揮することになり地元の人が思う以上に長崎の食材が豊かであることに気づきました。 東シナ海に面する長崎は2022(令和4)年の都道府県別漁業産出額*が北海道に次いで2位。フグやハモが全国屈指の出荷量を誇り、イセエビも名物であることは、あまり知られていません。 (*農林水産省の統計より) 農産物は温暖な気候が育てるレモンやミカンなどの柑橘類、無農薬で育てられる野菜、自然あふれる環境やこだわりの飼料で肥育される羊や牛、鶏や卵と愛情をかけて農産物を育てる生産者との出会いもありました。 コースで提供される料理は魚のカルパッチョや、こだわりの卵を使った自家製麵のパスタなど、イタリアの家庭料理を長崎の食材と融合させた料理が並びます。 山に囲まれた港町、長崎は修行で訪れた南イタリアに似ていることから長崎がイタリアにあったなら、こんな料理が生まれていただろうと想像しながら料理を考えているとシェフは話します。 〈陶々亭〉では、イタリア製のピザ窯で焼くピッツァも名物。500℃の薪窯で焼き上げるピッツァは香ばしく、誰もが好きな味です。 料理は長崎を代表する陶磁器、波佐見焼に盛り付けられて提供されることも食事から長崎を知る要素になっています。 ■長崎の暮らしに溶け込んだ特別さを受け継ぎ、今を知る宿 〈陶々亭〉から程近い唐人屋敷跡に長崎新地中華街、少し離れた大浦外国人居留地や出島とかつて国際貿易の拠点だったころの遺産が大切に残されている長崎。 一方で〈陶々亭〉と同じような歴史ある料亭が閉店して、建て替えられてしまった場所もあります。 〈レストラン HAJIME〉には〈中華料亭 陶々亭〉に思い出のある人も食事に訪れて変わらない部分や新しくなった部分を見比べて懐かしみながら食事を楽しんでいます。 有名な観光地だけではない長崎を知る、少し特別な旅にふさわしい宿です。 information 陶々亭(とうとうてい) 住所:長崎県長崎市十人町9-41 TEL:095-801-1626 客室数:3室 1泊料金:1名2食付49000円~ information レストラン HAJIME (はじめ) 住所:陶々亭と同じ TEL:陶々亭と同じ 営業時間:11:30~15:00(14:00L.O.)・17:30~21:00(最終受付19:00) 定休日:火・水曜 ※ランチ、ディナーともに予約制・ディナーの利用は13才以上に限る *価格はすべて税込です。 writer profile Saori Nozaki 野崎さおり のざき・さおり●富山県生まれ、転勤族育ち。非正規雇用の会社員などを経てライターになり、人見知りを克服。とにかくよく食べる。趣味の現代アート鑑賞のため各地を旅するうちに、郷土料理好きに。 【コロカルニュース】とは? 全国各地の時事ネタから面白情報まで。コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。