開幕大会でエンジントラブル多発のFIA F4、鈴鹿大会はハーネス強化の対策を講じて実施へ
富士スピードウェイでの開幕ラウンドで多数の車両にエンジントラブルが発生し、多くのエントラントがレースを欠場する事態となった2024年シーズンのFIA F4。第2ラウンドの鈴鹿大会は予定通り実施されるが、エンジンはサプライヤーのトムスが原因を調査した上で対策が施されている。 【動画】2024 スーパーGT第2戦富士:決勝ハイライト(GT500) FIA F4では今季からHALO付きの新車両『MCS4-24』が導入された。エンジンはトムス製の2L4気筒エンジン『TOM’S TMA43』が搭載されているが、富士ではそのエンジンのピストンが1気筒機能しなくなるトラブルが多くの車両で発生。第1戦でのトラブル頻発を受けて、翌日の第2戦ではメーカー育成系のHFDP Racing TeamやTGR-DC RSをはじめとするエントラントが安全性への懸念から出場を自主的に見合わせ、最終的に34台中10台が欠場となった。 富士大会から鈴鹿大会のインターバルは1ヵ月弱だったが、この間にトムスはトラブルの原因を調査。その結果、特に4番目のピストン付近の振動が大きくなっていることが判明した。その結果、当該箇所のイグニッションコイル(スパークプラグの放電に必要な高電圧を発生させる機器)が損傷してしまった、というのがトラブルの原因であることがほぼ確実だと突き止めたという。 そしてトムスは、イグニッションコイルなどの部品を電気的に接続している配線(ハーネス)をトップカテゴリーでも使用されているような高強度のものに変更するという対策を講じた。その上で先週鈴鹿でテスト走行を実施したが、エンジントラブルは一切出ていないという。TGR-DC RSの福木哲也代表もmotorsport.comの取材に対し、富士では「いつ壊れるか分からない」という状況だった一方で、現在は一定の安全性が担保されており、対策が効果を見せているという認識を示した。 またトムスの谷本勲社長はmotorsport.comに対し、原因究明にあたって設備提供など様々な協力をしてくれたトヨタ、TCD(トヨタカスタマイジング&ディベロップメント)に感謝をしたいと述べた。
戎井健一郎
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