メンタル強化、チームが激変 居酒屋経営の大嶋さん、津田学園・佐川監督に助言 /三重
<第91回センバツ> 津田学園(桑名市)の選手を応援する地元桑名の人たちにも熱が入る。居酒屋「てっぺん」のオーナー、大嶋啓介さん(45)もその一人だ。 居酒屋経営の傍ら全国各地の高校や企業でメンタル強化についての講演を行う大嶋さん。3年前、知人を介して佐川竜朗監督と知り合った大嶋さんは、大舞台で活躍している自分の姿を常に想像して動くようアドバイスした。絶好調の自分を常に想定しろというイメージトレーニングの勧めだった。 「このアドバイスでチームが劇的に変わった」と佐川監督は驚いた。大嶋さんは「ピンチの時でも前を向く気持ちの強さが、最高のパフォーマンスを引き出すんですよ」とイメージトレーニングの重要さを語る。 選手たちは自分たちを「ポジティブ集団」と呼ぶ。プレーでミスをしたメンバーにも親指を立て「いいね」と励まし合う。大嶋流のメンタル強化策の効き目は確かだった。 強い心の持ちようについて大嶋さんが学び始めたのは24歳。当時、大学卒業後に商社に就職するも、成績に悩み、心を病んで1年で退職したことがきっかけだった。自分の弱さと向き合うため、さまざまなセミナーなどで学んだ。 少しずつ自分が変わる実感を得ながら、改めて今後の人生の設計図を描き始めた。「そういえば、小さい時から自分は祭りが好きだったな」。大勢の大人たちが酒を飲み、歌ったり笑ったりしている様子に心をときめかせていたことを思い出した。「そんな楽しい空間を作ろう」 6年間、名古屋と東京の飲食店で修業した後、桑名市内で「てっぺん」をオープンさせた。従業員たちにもメンタル強化でポジティブ思考術を伝えている。 そんな大嶋さんに全国の野球部から講演の依頼が来るようになった。現在まで約100校の生徒たちと向き合った。 「昔の自分みたいに、自信がない選手が多いが、『君たちの限界はそんなもんじゃない』とこれからも伝え続けたい。必ず人は変われるから」【谷口豪】 〔三重版〕