【ライブレポート】ONE OK ROCKのワールドツアーが開幕、初披露の新曲からレア曲まで届けた味の素スタジアム公演
ONE OK ROCKのワールドツアー「ONE OK ROCK 2024 PREMONITION WORLD TOUR」が9月14日に東京・味の素スタジアムにて開幕した。 【写真】約5万人の前で披露された人気曲「Wherever you are」のアコースティックバージョン ■ 過去最大規模のワールドツアーの幕開け 「ONE OK ROCK 2024 PREMONITION WORLD TOUR」は、9月から10月にかけて日本、台湾、ドイツ、フランス、イギリス、カナダ、アメリカを巡るツアー。アジアはスタジアム会場、北米、ヨーロッパはアリーナ会場で公演が行われ、バンドとしては過去最大規模のワールドツアーとなる。日本公演は9月14、15日に味の素スタジアムで行われ、2日間で約10万人を動員した。ここでは初日公演の模様をレポートする。 オープニングでは過去のライブおよびMCの映像が流れ、Taka(Vo)の熱い言葉で観客の期待感は最高潮に。そんな中Toru(G)、Ryota(B)、Tomoya(Dr)がステージに登場し、重低音を唸らせると残暑の厳しい味の素スタジアムにさらに熱気が渦巻いていく。そしてステージ中央のポップアップが徐々にせり上がると、そこには髪色を鮮やかなグリーンに染め、物々しいガスマスクを付けたTakaの姿が。爆発的な歓声に包まれながら彼がガスマスクを剥ぎ取り、ライブの幕は開けた。オープニングナンバーとしてセレクトされたのは7月に封切られた映画「キングダム 大将軍の帰還」の主題歌「Delusion:All」。4人は最新曲の壮大なサウンドでバンドの世界観を提示した。 ■ ファンの意表をついたまさかのセットリスト 本ツアーはリリースに紐付いていないこともあり、ファンの意表をつくようなセットリストに。2012年8月リリースのシングル「The Beginning」よりカップリング曲「欠落オートメーション」のイントロが流れ始めた途端、客席から驚きと興奮が入り混じったような歓声が上がる。いまだサブスクリプションサービスで解禁されていないこの曲を、ONE OK ROCKは気迫に満ちた表情で届ける。その後も彼らは2011年10月発売のアルバム「残響リファレンス」より疾走感のあるロックチューン「Re:make」「じぶんROCK」を披露。2011~2012年にタイムスリップしたかのようなセットリストでオーディエンスを熱狂させた。 Takaは「今日は皆さんと、とにかく楽しい夏の思い出を作りに来ました。お祭り騒ぎする準備はできてますか? 近くで花火大会が行われている場所もあるかもしれないけど、それに負けないくらい大きな大きな花火を僕たちで打ち上げましょう! 」と挨拶。Toruは「来年20周年ということもあって、その架け橋になるようなツアーになればいいなと思ってます」、Ryotaは「35歳になってから1発目のライブなんでめちゃくちゃ気合い入ってます!」Tomoyaは「実はメンバーにも言ってないことが1個あって……。口内炎できて……。今日は口内炎に意識がいかへんくらい楽しもうと思ってます!」とそれぞれ奮起した。 さらにTakaは「最近野外でワンマンってほとんどなかったから、自分もリニューアルしたいなと思って、衣装とか髪型を変えてみました」とイメージチェンジについて触れつつ「夏の思い出になるような、楽しんでもらえるようなセットリストをがんばって作ってきたつもりなので、知ってる人は一緒に歌って騒いでください。最後までよろしくお願いします!」とファンに向けて語った。 ■ 物理空間のONE OK ROCKと仮想空間のONE OK ROCK すっかり夜の帳が下りた頃、ONE OK ROCKは「Decision」で夜空まで届くような美しいサウンドと歌声を響かせる。さらに「Renegades」では真っ赤に照らされた会場で荘厳なメロディを鳴らし、「Wonder」ではストレートなロックサウンドに乗せて、オーディエンスを宇宙空間への旅へと連れ出した。ここでビジョンに、バンドのLINEスタンプやグッズでおなじみの、仮想空間で生きるアバターのONE OK ROCKが登場。愛嬌たっぷりの彼らの自己紹介を受け、物理空間で生きるTakaは「なんか憎めないヤツというか、俺と一緒でかわいいヤツだな(笑)。今後どこで出てくるかはちょっと俺もわかんないけど、俺らが忙しいときにあいつらを使って、みんなとコミュニケーション取れたらいいなと思ってます」とコメントした。 Takaによる「暴れていこうか!」と言う声を合図に、ONE OK ROCKは「キミシダイ列車」「Make It Out Alive」を連投。ハードなサウンドや激しいパフォーマンスを繰り出しつつも、どこか肩の力が抜けたような、晴れやかな表情でライブを展開していく。ここでライトが落とされ暗闇の中にアコースティックギターの音色が響いた。Takaの「澄み切った夜空の下、心地いい風が吹いている中で、せっかくだからアコースティックでやりたいなと思って、急遽変更しました」という言葉から奏でられたのは、「Wherever you are」。この曲はToruのアコースティックギターとTakaのボーカルという、豊かな歌唱力が際立つシンプルな編成で演奏され、柔らかな音色と歌声がゆっくりと夜の闇に溶けていった。 ■ 世界を駆けるバンドとしての使命感 その後もONE OK ROCKは「欠落オートメーション」と同様にサブスク解禁されていないながらもファン人気の高い「カラス」、アメリカのロックバンド・Panic! at the Discoのブレンドン・ユーリーがコライト参加したドラマティックなナンバー「Neon」を次々に披露。会場に熱気に満ちる中、Takaはバンドの使命や目標について語り始める。 彼は「人生って人それぞれいろんな役割があると思うんですよ。俺らの役割っていうのは、デッカい壁をよじ登っていくようなものだと思います。ミュージシャンというのは、日常のことやちょっとした幸せを歌ってみたり、つらかった失恋を歌ってみたり、あとは自分のコンプレックスを希望に変えてみたり。そういうことが基本的なお仕事の内容だと思ってます。 でもONE OK ROCKの役割はそのどれでもなくて、 世界を回るバンドだからこそ、そして日本人だからこそ、それとは違うことを伝えなきゃいけないんだと、強く思ってます。日本はなかなか思ったことを言えるような環境ではないけど、でもだからこそ、言わなきゃいけないことを言う、伝えなきゃいけないことを伝える。周りになんと批判されようとも、絶対的に愛を持って、世界、そして日本の平和のために言わなきゃいけないことがあると思ってます。それを口にするのは簡単なことじゃないけど、俺らにはみんなや仲間がいるから、『よしやってやるぞ』という気持ちで、アルバムを制作しています。ONE OK ROCKを応援してくれている皆さんにも、ぜひ同じ気持ちでいてほしいなと。『自分さえよければそれでいい』ではなくて、 自分が動き出せば周りもきっと変わると、そう信じてほしいなと思います。そして俺らはいつか日本のバンドが世界を制する、そんな現実を突き付けます」と胸に秘めた熱い思いを語った。 アンコールでは、制作中のニューアルバムに収録予定の未発表の新曲を初披露。リズミカルなビートと明るいサウンドに導かれ、オーディエンスは大いに盛り上がった。その後ONE OK ROCKはラストスパートをかけるように「Let's take it someday」で観客にジャンプをうながし、スケール感のある「Wasted Nights」を演奏。ラストにはステージ上空に色とりどりの花火が打ち上げられ、まさにお祭りのようなムードでツアー初日が締めくくられた。 ■ セットリスト □ 「ONE OK ROCK 2024 PREMONITION WORLD TOUR」2024年9月14日(土)味の素スタジアム 01. Delusion:All 02. 欠落オートメーション 03. Re:make 04. じぶんROCK 05. Save Yourself 06. Decision 07. Renegades 08. Wonder 09. キミシダイ列車 10. Make It Out Alive 11. Wherever you are 12. Take what you want 13. カラス 14. Neon 15. The Beginning 16. We are 17. Mighty Long Fall 18. Stand Out Fit In <アンコール> 19. 新曲(タイトル未定) 20. Let's take it someday 21. Wasted Nights ■ ツアー情報 □ ONE OK ROCK 2024 PREMONITION WORLD TOUR(※終了分は割愛) 2024年9月21日(土)台湾 高雄 KAOHSIUNG NATIONAL STADIUM 2024年10月5日(土)ドイツ デュッセルドルフ MITSUBISHI ELECTRIC HALLE 2024年10月7日(月)フランス パリ ZENITH 2024年10月11日(金)イギリス ロンドン OVO ARENA WEMBLEY 2024年10月18日(金)カナダ トロント COCA-COLA COLISEUM 2024年10月23日(水)アメリカ ロサンゼルス KIA FORUM