おぎぬまXのキン肉マンレビュー【コミックス第33巻編】~初めて女性のために闘うことを決意したキン肉マンから見える"どんだけ男のマンガなんだ"~
●『キン肉マン』が男のマンガである証左!? そんな中で、このオメガマンの対戦相手役を担うのはジェロニモという流れになるわけですが、ここで大注目したいのは開始のゴングからわずか2ページ後。なんと彼は初手からいきなり最強技"Ωカタストロフ・ドロップ"をぶっ放してきたのです。信じられません。何が恐ろしいって『キン肉マン』はほぼ瞬殺がない作品なんですよ。 しっかり技を仕掛けて受けてのプロレスをして、その果てに磨き抜かれた超必殺技で試合を決める。この王道を本作は頑(かたく)なに守り続けてきたわけで、だからこそレオパルドンは伝説になれたという状況もある中、その掟(おきて)をオメガマンはいきなりぶち破ってきたのです。これだけでも、彼がいかにヤバい超人かを感じ取れた読者は多かったのではないでしょうか。 結果としてはアタルの密かな援護もあってジェロニモは一命を取り留めましたが、それで容易に戦況が覆(くつがえ)るわけもなく、おそらく誰もがここで早くも思ったでしょう「ジェロニモには荷が重い...」と。 実際、ジェロニモはこの後ジリ貧になって負けていくわけですが、そもそも彼の魅力はロビンマスクのような強さにあるわけじゃないとも僕は思うんです。一番はどんなに不利でも泥臭くあきらめずに向かっていく姿勢がまずあって、それが仲間の心に火をつける。それが如実に出たのが、132ページでザ・サムライの見せた無言の2コマ。 散っていくジェロニモに対し、その心中をくみ取って何も言わずにただ見送る。これがシビれるほどにカッコいい。動きは何もありません、しかしこの"何もしない"ということをさせたことで、ジェロニモは確実にその男の心に、目には見えない火をつけた。これはザ・サムライのカッコよさであると同時にジェロニモのカッコよさでもあったと僕は思います。だから彼は負けたけど、勝利へと続く役目は充分に果たした。彼なりの良さはしっかり出た上での敗北ではなかったかと思います。 こうして闘いは最終局面、フェニックスが登場するイリミネーション・ルーレット・マッチへとつながっていくわけですが、ここに至るまでに必ず語らねばならないのはやはりビビンバのことでしょう。 キン肉マンの応援に来た彼女の唇をフェニックスが凌辱するという、この作品にしては何とも珍しいシーン。これだけでも大きな驚きですが、それに対するキン肉マンの答えもまた大きな驚きでした。 「わたしは今まで男同士の友情のため以外にこの身を動かしたことはないが、こ...今度だけは女のために動かさせてもらうぜーーっ!!」 まさか、キン肉マンのこんなセリフが聞けるなんて...。いや、他のマンガなら主人公がヒロインのために闘うなんてごく当たり前のことなのに、キン肉マンがそれをしようとしただけでここまでの衝撃が走るという事実に僕は逆に震えました。どんだけ男のマンガだったんだ...と。 こうしてフェニックスは一般的バトル作品における悪役的立場までしっかり獲得。キン肉マンとの因縁、対比も最高潮にまで高まったところで次巻、決戦が始まります! ●『キン肉マン』4コマ ●こんな見どころにも注目! 試合の場面は一切ないんですが、本編でも触れた「不気味なる予言!!の巻」の扉でジ・オメガマンやサムライと共に発表されたこの3名。猛者感がハンパありません。言ってることもいちいちすごくカッコいい。ちなみに超人強度はキャッチマン4600万パワー、グレイト・ハリケーン6500万パワー、フィッシングマンに至っては7450万パワー、つ...強い! ネプチューンマンの命すら蘇生させた神のごとき力まで持つ彼らの闘いをいつか絶対見てみたいと、僕は今でもずっと願ってやみません! 漫画/おぎぬまX 構成/山下貴弘 ©ゆでたまご/集英社
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- パーソナリティは上坂すみれ(ミートくん)! 6月3日から毎週月曜18:50~ニッポン放送『キン肉マン 超人ラジオ』放送決定!!
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