元三冠王ブーマー・ウェルズさん、古巣オリックスにエール パワフルな打撃のレジェンド、ライバル落合博満さんと競い合った日々
1984年に三冠王に輝くなど、プロ野球阪急(現オリックス)などで活躍したブーマー・ウェルズさん(69)が11年ぶりに来日し、パ・リーグ3連覇を目指す古巣オリックスに「とても良くやっている。リラックスして、このままやってほしい」とエールを送った。身長200センチの巨体から繰り出されるパワフルな打撃が、今なお往時を知るファンの脳裏に焼き付いているレジェンド。時折冗談を交えながらキャリアを振り返り、日本野球への思いを語ってくれた。(共同通信=木村督士、児矢野雄介) ▽駆け出しの捕手だった中嶋監督との思い出 8月3日に京セラドーム大阪でのオリックス―楽天で始球式を務め、久々に日本のファンに元気な姿を披露した。オリックスへのメッセージを求められると、笑顔で拳を挙げて「イエー!サメ!」。「サメ」とは現役時代にともにプレーした中嶋聡監督の愛称だ。風貌がサメに似ているというのが理由だそうで、「上田さん(当時の上田利治監督)も彼をサメと呼んでいた」と懐かしそうに思い出を語った。
中嶋監督が駆け出しの若手捕手だったころ、ピンチで配球に困った時に一塁を守っていたブーマーさんが投げるべき球をジェスチャーで教えてあげたこともあったという。昨季は球団を26年ぶりの日本一に導くなど、立派な監督に育った後輩に「今まで通りにやって、勝ち続けてほしい」と目を細めた。 ▽「Why?」じゃなく「ハイ」 自身は1983年から10年間日本でプレーし、通算277本塁打を放った。力強い一発だけでなく、通算3割1分7厘の高打率を残し首位打者も2度獲得している。 選手としての能力の高さに加えて、文化や考え方の違いに柔軟に適応したことが、異国で活躍できた要因だった。日本のコーチの言うことに違和感を抱いても、むやみにぶつかることはしなかった。「『Why(ホワイ=なぜ)?』って言うかわりに、『ハイ』って言うことを覚えたんだ。『Why?Why?』じゃなく『ハイ、ハイ』ってね。一度適応して受け入れると、野球もさらにやりやすくなる」と外国人選手として成功する秘訣を語った。