女性を金づちで撲殺し、強盗殺人罪で服役40年。人生の大半を刑務所で過ごす70代男の「罪の意識」と「社会復帰」
どうしているだろう、とは思うが「未練でしかない。自分が犯したことの結果だ」。一方的に送っていた年賀状は服役して30年の節目に送るのをやめた。区切りを付けるためだった。 一方で、事件を起こした後に生まれた絆もある。5つ年上の姉との交流だ。「叱咤激励しながらずっと支えてくれている。ものすごく愛情を感じる」。被害者を供養してくれる寺が見つかり、山本受刑者が送る1万円を姉が代理で納めている。 ▽服役40年、仮釈放の手続きは― 服役後、ほかの受刑者をまとめる立場を任されるようになり、自分の中で変化を感じるようになった。人とうまくコミュニケーションをとれない性格と向き合い、少しでも直そうと努力した。それに伴って、更生しようという気持ちが強まったと感じる。そのころから20年以上、刑務所内での反則行為はゼロだという。 今年4月、仮釈放に向けた手続きの対象となった。対象となるのは2回目だった。しかし、仮釈放はかなわなかった。
山本受刑者は命を奪った被害者や、遺族のことをどう思っているのか。「自分が命を奪うことで、家族の方々もいっぺんに人生が変わってしまった。憎しみは絶対に消えないと思う」 「悔悟の念でいっぱい。自分自身は後悔ばかりが積み重なる」と話す山本受刑者。仮釈放で社会に戻れるのか。かすかな期待は捨ててはいない。だが、こうも感じている。「年齢も年齢。社会復帰の希望は薄れてきている」 無期懲役囚へのインタビュー、第2回は10代で事件を起こした30代の受刑者。彼の考える「謝罪と償い」とは。 × × × 無期懲役 期間を定めない懲役刑で、死刑に次いで重い刑罰。刑法28条は、改悛(かいしゅん)の情があれば服役から10年経過後に仮釈放できると定めるが、その場合でも一生保護観察下に置かれる。仮釈放が許されなければ、死亡するまで刑務所で過ごすことになる。法務省によると2022年12月末時点で、全国の刑事施設の無期懲役受刑者は計1688人。22年中に10人が新たに収容され、41人が死亡した。仮釈放された6人の平均受刑期間は45年3カ月。