時・場所・場面に合う服装とは?Vol.3/アレクシス・クラウストル
4. 雨の日の外出着。
悪天候でも、身に着けるのはテックウェアではなく、レインウェア代わりのシックな古着たち。 雨予報とは思えないほど、パリジャンらしいシックな装いで街を歩くアレクシス。「いわゆる防水性のある服が僕のワードローブにはないから、祖父からもらったこのオーバーサイズの古着のコートがレインウェア代わりなんだ。それでいうと〈G.H. Bass〉のモカシンも、僕にとってレインシューズ。濡れてもいい革靴があると、雨空の日のスタイリングの幅もグッと広がるのさ」。インナーの赤いニットや肩からかけた黄色いカーディガンのように、明るい色の服を一つでも加えれば、曇天の気分もパッと明るくなるんだとか。
5. ひとりの休日。
快適なMA-1とはき慣れたデニムパンツで、オフの日にはくつろぎを優先。 「仕事のときはジャケットを羽織ったりエレガントな服装を意識して過ごしているから、休日はなるべく気張らずにリラックスできる服を着るんだ」と語るように、ゆったりとしたシルエットのMA-1に〈Levi’s〉の「501」のデニムを合わせたオフのスタイルでティータイムを楽しむアレクシス。一方で〈Ralph Lauren〉のインディアンベルトとエディ・スリマン期の〈Saint Laurent〉のブーツによるブラウンのカラーマッチングなどの細やかな色合わせは忘れない。快適な装いでもしっかりとツボを押さえるところが抜け目ないね。
6. スポーツ観戦。
スポーティなショーツとエレガントなシューズ。ギャップのある組み合わせでテニス観戦へ。 「僕はテニスを観戦するんだ。全仏オープンの会場の『ローラン・ギャロス』には一度は行ってほしいよ」。そんなときでも「シックとエレガントは切り離せない」とアレクシス。〈Adidas〉と〈Wales Bonner〉によるスポーティなラインショーツに〈Saint Laurent〉の白いモカシンを合わせたスタイルは、彼なりのスポーツ観戦の正装だが、そのインスピレーション源は意外にもNYのストリートブランド〈Aimé Leon Dore〉のルック。「スポーツウェアとトラッドなものを組み合わせて、優雅なムードを構築する彼らのビジュアルはいつも参考にしているよ」
プロフィール
1990年、ボルドー生まれ。〈Chanel〉や〈Berluti〉を経て、現在は〈Boucheron〉に勤務。SNSや雑誌などで見つけた着こなしの参考になる写真をiPhoneのアルバムにまとめるほど、日々スタイリングのことを考えている。休日は蚤の市を巡って、自身のアイデアのヒントになりそうなものを集めるのが趣味。 photo: Mari Shimmura, illustration: Kouzou Sakai, text: Shintaro Kawabe, coordination: Masaé Takanaka(2024年2月 922号初出)
POPEYE Web