熊本市電・バスの全国交通系IC決済、「廃止」方針に抵抗強く 熊日S編アンケート 若い人ほど「反対」
アンケートは多く意見を集める目的で、無作為抽出する世論調査とは性格が異なる。(高橋俊啓、東有咲) ◆九州のバスの決済方法は…全国IC入れずタッチ決済採用も 「Suica(スイカ)」などの全国交通系ICカード決済が導入後に廃止となれば、全国で初のケースになるという。一方、九州・沖縄の路線バスには、全国交通系を導入しないまま、クレジットカード(クレカ)などのタッチ決済を取り入れる事業者も出てきている。 九州・沖縄の7県や、熊本の路線バス事業者5社でつくる共同経営推進室によると、現在、路線バスで全国交通系ICカードが全く利用できないのは鹿児島と沖縄の2県だ。 鹿児島では、鹿児島市が運営する路線バスが、市電とともに地域限定型の交通系ICカード「ラピカ」と、クレカのタッチ決済を導入している。 鹿児島市交通局によると、2005年に「ラピカ」を導入。その後、利用者から全国交通系ICカードへの要望が寄せられたが「費用面で断念」(市交通局)。今年3月、幅広くキャッシュレス決済に対応しようと、路線バスにタッチ決済を新たに加えた。市交通局は「タッチ決済導入に国の補助が活用できた。チャージする必要がなく、利用者から便利になったと好評だ」と話す。
沖縄も同様に全国交通系を導入せず、地域限定ICとタッチ決済で対応している。沖縄バス(那覇市)は、地域限定型のICカード「OKICA(オキカ)」が路線バスで使えるほか、3月に一部の路線でタッチ決済を取り入れた。 沖縄バスは「全国交通系の導入は費用面でハードルが高すぎる。県や国からの補助がないとどうにもできない」として、熊本の廃止方針に理解を示す。 一方、地域限定ICを廃止して、全国交通系を導入した事業者もある。長崎県営の路線バスは20年6月、地域限定型の「長崎スマートカード」のシステム更新を機に、全国交通系に切り替えた。 「『長崎スマートカード』のシステム老朽化への対応を検討する中、県外からの利用者の利便性を考慮した結果」と長崎県交通局。しかし、熊本と同じく将来への不安もある。「いずれは全国交通系も更新時期を迎える。費用は高く、ネックになるかもしれない」と漏らす。(東有咲)