【お金の価値観アップデートQ&A】ファイナンシャルプランナーが教える貯金、資産運用、老後資金のこと
手元にある貯金の行方、バランスのよい資産運用の比率、気になる老後資金についてなど、お金にまつわるお悩みについて、ファイナンシャルプランナー高山一恵さんが一問一答。読めば前向きになれるかも!
◆教えてくれたのは ファイナンシャルプランナー 高山一恵さん Money&You取締役。女性向けWebメディア『FP Cafe』『Mocha』やYouTube「Money&You TV」の運営、女性にお金の知識を伝えるための講演や執筆など幅広く活躍。24万部のヒット作『はじめてのNISA&iDeCo』(頼藤太希氏との共著・成美堂出版)のほか著書多数。 金銭感覚をアップデート中 編集T 数々のマネーテーマ企画を経て、’24年からNISAで積み立て投資を開始。資産の上下変動に一喜一憂している。
Q.銀行口座にただ置いているだけの300万円。どうすべき? A.1年分の生活費を確保し、残りを個人向け債券やネット銀行に移行しては? 「生活費の半年~1年分は、現金として手元に残しておきましょう。そのほかで10年以上使う予定がないお金ならば、投資に回してもいいですね。ただし企業にお金を投じる株式投資は元本割れのリスクが。抵抗感がある人は、元本割れがなくて期間や利回りが決まっている個人向け国債を購入し、お金を増やす経験をしてみては。またマイナス金利解除に伴い、ネット銀行などは金利が上がってきているので、そちらに移行するのも◎。派手さはありませんが多少はお金が増えると思います」 Q.貯蓄型生命保険は入るべき? A.今からなら掛け捨て型でOK。すでに加入している場合は予定利率の確認を 「貯蓄型生命保険は手数料や運用コストが高いです。今は運用の利回りも低く、新たに入るのはおすすめしません。保険は掛け捨てのみで大丈夫です。とはいえ貯蓄型生命保険は、30年前は予定利率が3%~5%くらいでした。親が子どもの名義で契約している可能性もあるので、確認してみましょう」 Q.遺族厚生年金の改定はどうなるのでしょうか? A.男女格差をなくす方向に徐々に変わっていきそうです 「現在の法律での遺族年金の場合、夫を亡くした30歳以上の妻は終身で受給ができます。一方で男性は、55歳以上からが対象年齢となり、支給は60歳からになります。共働きが進んでいる今の社会では、男性にとって不平等な制度なので、改正される可能性は高いと思っています。何となく女性側としてはモヤモヤしそうですが、悲観することはないですよ。性別に関係なく、個人で稼ぎ、資産を築ける可能性が増えたことの裏返しだと思います」 Q.景気って、なにがどうやって変わるものですか? A.実は人の気持ちで動く部分が大きいんです 「デフレ経済と不況の中で育ち、節約しながら働いてきたバイラ読者には、今のインフレや物価高に戸惑うかもしれませんが、人は“世の中の羽振りがいいぞ”と感じられれば、消費活動にも前向きになるし、そのことで企業の収益が上がり、経済も上向きになっていく。景気は、人間の気持ちや雰囲気に左右される部分が大きいんです。だから私たちも、気持ちを上げて、納得いくようにお金を使いましょう。とはいえ、お給料も上がってほしいですね(笑)」 Q.結局、定年までにいくら貯金したらいいのでしょうか? A.約2000万円はあると安心ですが、持ち家やリタイア後のパート・アルバイトで賄えることも 「総務省が示す“年金受給を前提とした最低限の生活”の額を参考にすると、毎月3万円は受給額から足りない計算に。このマイナス3万円を30年分(老後を65歳~95歳と設定)医療費なども考えると約2000万円あると安心という勘定にたどり着きますが、実際は人それぞれ。2000万円貯められなくても持ち家の人は家賃の支出がないし、65歳以上でもパートやアルバイトなどで稼げるケースも。これからの時代は“定年以降に健康でいること”のほうが重要かもしれません」 Q.お金の知識がまったくなく、身につけたいです。まず何をすればいいですか? A.YouTubeやTikTokから学ぶのもあり!大事なのは一人の言うことだけを信じすぎないこと 「自分が親しみやすいメディアを使って情報収集をしましょう。YouTubeやTikTokから学ぶのもいいのではないでしょうか。ただしインフルエンサーの場合は、一人だけの意見を盲信するのは危険。その人の成功話や資産運用法が万人に通用するとは限りません。必ず複数の人の意見や見解を聞いて。ある程度理解力が上がってきたら、書籍や金融庁のサイトなども確認し、偏りのないマネーリテラシーを身につけましょう」