単なるSF大作にあらず、テーマは宇宙を超えた絆 ── C・ノーラン監督最新作『インターステラー』
厳密に言えば、SF作品としても超大作ではある。秀逸なカメラアングルや撮影演出などに裏打ちされた、圧倒的なスケールで目に飛び込んでくる迫力ある映像の数々は見所の一つといっても良いだろう。また、劇中でマコノヒー扮する元テスト・パイロットでエンジニアの主人公クーパーが惑星間移動(=インターステラー)をするうえで、アインシュタインの相対性理論から想起された、離れた空間同士を結ぶワームホールやブラックホールといった宇宙の神秘がストーリー上で大きなカギとなっているのだが、同映画の製作総指揮の一人にはブラックホールや重力理論の研究で知られる物理学者のキップ・ソーンが参加しており、作品全体のリアリティーを骨太なものにしている。自らの使命を果たすため、クーパーが次々と直面する生死を分かつリスクやハプニング、裏切りに対峙し、必死に乗り越えようとする臨場感あふれるストーリー展開にも目が離せない。 そのうえで、同映画の根底を支えている最大の魅力は家族愛であり、人間愛、人と人との絆だろう。ノーラン監督といえば、『ダークナイト』しかり、『ダークナイト ライジング』しかり、いわゆるヒーローが活躍する派手なアクション映画でも、単なる勧善懲悪な内容には終始せず、悪役や脇役の内面描写にも精力を注ぎ、どこか共感できる人物として描くことで作品を魅力に深みを持たせている。 今作においても、クーパーと愛娘のマーフとの親子の絆をはじめ登場人物が織りなす愛憎劇はまさに見もので、ノーラン監督の鋭い人物描写が冴えわたっている。まさに宇宙を超えた家族の絆、人類の挑戦をテーマにした作品であり、SFに興味のない人が観ても、大きな感動を呼ぶ作品と言えるだろう。 『インターステラー』 11月22日(土)新宿ピカデリー他全国ロードショー オフィシャルサイト:www.interstellar-movie.jp 配給:ワーナー・ブラザース映画 (C) 2014 Warner Bros. Entertainment, Inc. and Paramount Pictures. All Rights Reserved.