教員「特別免許状」指針の改定案 ハードル下げ、積極的活用促す 文科省
文部科学省は24日、教員免許を持たない社会人を教職に登用する際に与える「特別免許状」制度について、これまで以上に自治体が活用しやすくするために見直した運用指針案を中央教育審議会(中教審)の部会に提示し、了承された。専門人材を採用するために設けられた制度だが、地域によって活用にばらつきが目立つため、積極的に採用に役立てるように求めていく。 【一覧で見る】国や自治体が進める教員人材確保の強化を狙った採用の仕組み 改定された指針案では、個別のホームページ(HP)を作り分かりやすく広報する▽特別免許状の授与を前提とした選考の実施▽任期付きなどで任用できるようにする▽指導力を過度に重視しすぎない-など、制度活用のハードルを下げる項目が盛り込まれた。 一部の自治体では、一つの競技で実績を収めたアスリートが保健体育科の全般に関する知識があるのかを不安に感じて採用をためらうケースもあったという。改定された指針では、そうした場合でも、特別免許状を授与できることを明確に打ち出した。 特別免許状の授与件数は令和4年度に全国で500件に上る。しかし、群馬県、富山県、石川県、宮崎県はゼロで、自治体によって運用にばらつきがある。部会に出席した埼玉県戸田市教委の戸ケ崎勤教育長は「多様な人材の活用に資すると期待したい」と述べた。 この日の中教審部会では、採用手法の好事例を集めた文科省の緊急調査の結果も公表。テレビドラマと連動した広報など自治体のユニークな取り組みが報告された。社会人の活用などと合わせ、モデルケースを全国的に広げて教員不足の解消につなげる考えだ。