武漢封鎖4年「真実解明を…」失った家族への思い今も
■情報隠し批判した男性は今も拘束続く
一方、遺族の中には当局に拘束された人もいる。楊敏さんと同様、コロナをめぐる当局の情報隠しを追及していた張海さんだ。張海さんの父親は2020年2月、骨折治療のため武漢の病院に入院した後、新型コロナに感染し、亡くなった。張さんは、その後「父親が死亡したのは当局の情報隠しが原因だ」として、およそ3年にわたり抗議を続けてきた。 しかし去年2月、中国当局は張さんを拘束。拘束は張さんが武漢で起きた医療手当の削減に抗議するデモの動画をSNSで発信したのがきっかけで、張さんはその後、警察に逮捕・起訴された。張さんの知人によると、張さんは去年11月、裁判所から1年3か月の有罪判決を言い渡されたという。 中国政府が一時、新型コロナとの闘いの勝利を象徴する「英雄都市」として宣伝してきた武漢。今では過酷なゼロコロナ政策で市民を翻弄(ほんろう)したことを忘れたように、その宣伝もなりを潜めている。その一方で、情報統制と監視は厳しさを増していて、市民たちの苦境は続いている。 (NNN中国総局 森葉月)