基調講演する岸田文雄首相＝30日午後、東京都江東区（三尾郁恵撮影）

岸田文雄首相は30日、東京都内で開かれた国内外の投資家や金融機関関係者向けのイベントで講演し、看板政策として推進してきた「資産運用立国」実現へ向けた取り組みについて「日本全体の資金の流れを大胆に変えていく野心的な改革であり、継続性が何よりも大事だ」と述べた。首相在任中の講演はこれが最後で、次期政権や金融関係者に継続的な投資の拡大を託した。 首相は講演で、在任中に行った経済政策として、大胆な労働市場改革や、半導体などの戦略分野への支援、今年1月の新しい少額投資非課税制度（NISA）導入などを挙げた。 これらの取り組みにより、高水準の賃上げが実現したほか、株価や上場企業の時価総額が大幅に上昇したと指摘。「日本企業に資本コストや株価を意識した経営が定着しつつあり、世界中から評価されてきている」と成果を強調した。 日経平均株価の30日終値は3万7919円。岸田政権発足前の令和3年10月1日の2万8771円から3割強上昇した。 その一方、首相は「ここで満足してはならない」とも指摘。「明日私は退任するが、今後とも資産運用立国の取り組みの果実を日本経済に定着させていくために、政府、国内外金融関係者がコミュニケーションを継続していくことを期待している」と述べた。次期政権でも、「貯蓄から投資へ」の流れを強化する取り組みの継続を引き継ぐことを求めた。