【特集】聞こえない自分たちの世界を知ってほしい…聾学校の高校生 「写真甲子園」に挑戦 レンズの先にあるものとは
高校生の写真部日本一を決める「写真甲子園」。この春、鳥取聾学校の生徒も参加。応募までの活動を追いました。 ◇ ◇ 4月16日。 放課後、鳥取聾学校のとある教室に集まったのは、写真部に所属する8人。今年度初めての部活で発表されたのはー。 鳥取聾学校写真部顧問 尾田将史 教諭 「『全国高等学校写真甲子園』に久しぶりに応募したいと考えています」 写真甲子園とは、高校生が単独ではなく、「チーム戦」で競いあう、唯一無二の大会。予選審査を通過すると7月末から北海道で行われる本選に出場することができるという、写真部員憧れのコンテストです。 鳥取聾学校写真部 菱川玲 部長 「緊張はありますけど、それよりも甲子園に出られるっていうことがすごい楽しみ」 実はここ数年、部員数が足りず大会に応募できていなかった鳥取聾学校。今年は部員が5人揃ったので8年ぶりの応募です。
■戦う相手は聞こえる高校生…鳥取聾学校写真部の部員たちが写し出したい世界とは?
~テーマを決める部員たち~ 「聴覚障害者にとって、必要なものを強調するような写真が撮ってみたい」 「やりとり。先生と生徒でやり取りの場面を撮ってみたい。手話でね」 話し合いの結果、決まった撮影テーマは「聞こえない日常」。 大会に参加する多くは聞こえる高校生だからこそ、毎日当たり前につけている「人工内耳」や手話での会話など、聞こえない自分たちにとっての当たり前を被写体として表現したいと話します。
■自身も聴力障害者・顧問の先生が自分の経験から部員たちに伝えたいこととは…
鳥取聾学校写真部顧問 尾田将史 教諭 「前にピント合わせてここにピント合わせて」 「いい感じいい感じ だけどもうちょっと上からもうちょっと上から」 写真のイロハを熱心に指導するのは、顧問の尾田将史さん。自身も鳥取聾学校写真部のOBで、高校1年生の時に写真甲子園に出場。顧問としてまた出場したいという強い思いがあります。 鳥取聾学校写真部顧問 尾田将史 教諭 「結果っていうよりも、それに向けたプロセス。目指すまでの道のりで自分にとって何ができたか、生徒たちが自分の力を発揮できたか、ここが重要。その分、おまけに結果がついてくるという風に私は考えています」 尾田さんは鳥取聾学校を卒業し大学に進学。卒業後は社会科の教員としてろう学校に20年近く勤めています。 鳥取聾学校写真部顧問 尾田将史 教諭 「写真はコミュニケーションの一部だと思っています。社会の中は聞こえる人で成り立っていて、逆に聞こえない人はそれが難しい。だけど将来的には必ずその中に入るわけで」 聞こえることが当たり前の社会。写真を撮る中で生まれるコミュニケーションを通じて、卒業後もこの社会で生き抜く力を身につけてほしいという思いで指導しています。
【関連記事】
- 【注目】長年愛されるご当地パン その地で愛され、さまざまな人の思いによって広がりを見せる 鳥取県・島根県
- 【課題】少子高齢化が進む中、介護士を目指す人材が減少 マイナスなイメージを払拭するため「働きやすさ」を追求する介護施設の取り組みとは?
- 【特集】「民藝」とは? 普段使いのアイテムに少しこだわって生活を豊かに… 街の新たなにぎわいづくりに民藝を活用 鳥取県鳥取市
- 「野球を続けたい!」 女子硬式野球部が全国に次々 鳥取県には部員2人だけの野球部が誕生 目標は“甲子園” 島根県の女子野球部は6年目 部員46人は県外からも
- "バズり"成功で自社をPR 指先一つで自社と世界をつなぐ SNSの『中の人』に密着