毎月負担増の「子育て支援金」はすべてここに書かれていた…!元高級官僚が執筆した「日本の未来」を予測するヤバすぎる本の中身
国民の反発が渦巻くなか、子育て支援金制度に関する法案が成立する。いったいなぜこんな問題だらけの制度の導入を決めたのか。過程をたどると、総理と財務省、それぞれの思惑がわかってきた。 【マンガ】グーグルが上場したときに「100万円」買っていたら、今いくら?
これは保険じゃない
インフレと増税に苦しむ国民の財布から、政府はまたこっそりカネを抜き取ろうとしている。 4月19日、子ども・子育て支援法の改正案が衆議院本会議で可決された。少子化対策を「最重要課題」と位置づける岸田政権肝煎りの政策だ。 '23年の合計特殊出生率が1.20前後と過去最低の見通しとなり、少子高齢化が加速する日本。これを食い止めるため、岸田政権は3.6兆円規模の財源を確保し、少子化対策に充てると発表。うち約1兆円は、医療保険料などに上乗せして徴収するという。 これを実現するために提案されたのが、子ども・子育て支援法等改正案に含まれる「子ども・子育て支援金制度」だ。参議院でも可決される見込みで、まもなく「幅広く国民からおカネを徴収する制度」が誕生する。 だが、この制度はすでに悪評を買っている。経済ジャーナリストの磯山友幸氏が指摘する。 「岸田総理は就任直前に『消費税は10年は上げない』と明言しました。そこで、少子化対策の財源を『保険料』に求めざるを得なくなった。 しかし保険料というのは『みんなでおカネを出して、病気になったときの医療費のリスクに備えましょう』という制度。全員が恩恵を享受できるから成立するわけです。 ところが『保険料で少子化対策を』といっても、子育て支援の拡充で恩恵を受けられるのは子どものいる・生まれる世帯だけ。すでに子育てを終えた世代や独身、子どものいない世帯には直接恩恵がない。そういう人たちからもおカネを集めるというのは保険制度として筋が通っていません」
すべてここに書かれていた
また、岸田総理はこの制度を説明するときに「国民に実質的な負担は生じない」と繰り返したが、この発言も反感を生んだ。国会でこの制度の問題点を追及した立憲民主党の藤岡隆雄議員が指摘する。 「政府の試算に基づく参考値からすると、国民健康保険の加入者一人当たりで、年収400万円の世帯では月額550円、600万円世帯なら800円、800万円世帯なら1100円の負担に、さらに夫婦と子ども一人の3人世帯では、それぞれ1650円、2400円、3300円を負担するわけです。最大で年間3万9600円超の負担増。これのどこが『実質負担なし』と言えるのでしょうか」 そもそも、なぜ総理はこんな制度を導入しようと思い立ったのか。その過程を紐解いていくと、驚きの事実が浮かび上がってきた―。 「ここに書いてあることは実現できるのか? これが本当なら、わが政権の目玉施策になるな」 まだ日本がコロナ禍にあった'21年末のこと。岸田総理は一冊の本を読むと、側近らにこう話したという。 総理が手にしていたのは『人口戦略法案』という560ページもある大著だ。'21年11月に発売された本書は小説の形をとってはいるが、日本の人口減少の実態とそれによってもたらされる悪夢のような未来が書かれた「告発本」である。 執筆したのは山崎史郎氏。介護問題や人口問題に精通した元厚労省の幹部官僚だ。元官僚が実名で小説を書くこと自体異例だが、本作品のなかには少子化がもたらす問題点とともに「政府がいま打つべき対策」も多数提言されている。 いわば、「人口問題のすべてがわかる教科書」なのだが、そのなかでも特に強調されているのが、「保険料を財源とする『子ども保険』の創設」だ。ディテールに違いはあるものの、実はこれが岸田総理が推し進める「子ども・子育て支援金」のベースになっているのだ。官邸関係者が明かす。 後編記事『大ブーイングを浴びても成立を急ぐ…岸田政権が「子育て支援金」にすべてを賭けている本当の思惑』ヘ続く。 「週刊現代」2024年5月11日号より
週刊現代(講談社)