破産する人の「4人に1人」は60歳以上! もっとも多い理由は「生活苦・低所得」という結果に 「老後破産」を避けるために注意すべきこととは?
老後の年金が多くもらえず、医療費がかさみ経済面で困窮するのではと、現役世代の多くの人が不安を持っているのではないでしょうか。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算 老後に破産するケースは多くあり、2020年の日本弁護士連合会の調査によれば、破産債務者を世代に分けると60歳代が16.37%、70歳代以上が9.35%に達し、60歳以上が全体に占める割合は25%に達しています。つまり、破産する人の4人に1人が高齢者であったということです。 2005年の調査(60歳代14.2%、70歳代以上3.05%)と比較すると、個人の破産に占める高齢者の割合が大きく増えていることが分かります。将来的なお金の不安を抱えている人が破産しないために、これからどうすればよいのか検討してみましょう。
1番重要なのは支出を正しく把握すること
もしもあなたが毎月の生活費がいくら程度なのかを把握できていないのであれば、将来的なお金に関するリスクは高いといわざるを得ません。破産と聞くと、ギャンブルや浪費、投資で失敗するようなイメージがあるかもしれませんが、冒頭で紹介した調査結果によると、これらの要因が原因とされる割合は全体の2割程度(複数回答)にすぎません(図表1)。 図表1
日本弁護士連合会 2020年破産事件及び個人再生事件記録調査 3年おきに行われている2005~20年の調査において、最も割合が高かったのはいずれも「生活苦・低所得」で6割を占めています。ただし、問題は単純に所得が低いことではなく、収入と支出のバランスがとれていないケースが多いことだとも考えられます。 将来の経済的なリスクを軽減するために、最初に取り組むべきことは、毎月の生活費が具体的にいくらかかるのかを認識することです。食費のような目につきやすい支出を見直すだけでは十分でありません。 保険料やサブスクサービスの料金など毎月の支出や、ネットショッピングのカード払い、コンビニでの電子決済のような、目に見えづらく、無意識に利用しがちな支出に注意する必要があります。 次に、毎月の支出が収入に見合っているかを検討します。一般的には住居費、光熱費、保険料、教育費、自動車維持費など固定費を見直すと効果が高いといわれています。家庭の考え方によって優先順位は異なりますが、大きく赤字になっているのであれば、何かを削る必要があります。特に、60歳未満の現役世代では収入が支出を上回ることが望ましいでしょう。 さらに、徐々に支出を抑えていくよう、定期的に見直しを図ることも大切です。例えば、40歳代の子育て期と、60歳代の夫婦2人での暮らしを比べれば、60歳代のほうが支出が少ないことが望ましいでしょう。また、高齢になると収入が減少することが一般的ですから、減少に見合った支出になるよう、生活を調整することが大切です。