日露戦争の戦況伝える「福島民報」号外発見 福島・郡山市の民家の蔵で
日露戦争の戦況を伝える1904(明治37)年発行の「福島民報」号外が、福島県郡山市の民家の蔵で発見された。明治時代の「福島民報」号外は発行した福島民報社や県内の図書館、資料館で現物が確認されたことはないとみられ、関係者は「当時の様子を知ることができる貴重な資料」と受け止めている。 郡山商工会議所会頭の滝田康雄さん(80)の自宅で10月、家族が見つけた。4月17日から11月2日にかけて発行された10枚で、「第七回旅順口攻撃公報」「大日本帝國(国)陸海軍萬(万)歳」「大石橋占領」「敵將(将)クロハトキン負傷す」「敵艦ノーウ井(イ)ックの撃沈」といった見出しが並ぶ。6月5日は「旅順口の大爆聲(声)」の文字の隣に「本社特派通信員發(発)」との表記もある。 滝田さんによると、祖父徳蔵さん(故人)が日記の代わりに号外を保管していたのを聞いたことがあるという。「号外は歴史そのもの。資料として活用してほしい」と、福島民報社に寄贈した。
「福島民報」号外は県立図書館や県歴史資料館に明治期の所蔵物がない。東京大大学院法学政治学研究科付属近代日本法制史料センターの明治新聞雑誌文庫所蔵新聞号外コレクションで検索できる物も1923(大正12)年が最古。県立図書館資料情報サービス部の担当者は「新聞は日々の側面を切り取っており、当時を知ることができる貴重な資料」と語る。 号外研究家で「戦争と号外」などの著書がある小林宗之さん(40)=京都市=によると、日露戦争は日本の新聞史上で最も号外が出たとされる戦争で、地方紙も競合他紙との販売競争の中、拡販手段として頻繁に発行していたという。