ラッセル・クロウは怒りっぽいけどチャーミング? 戸田奈津子「取材陣と一緒に写真を撮ろう」と言ったのはこれまで彼だけ
長場雄が描く戸田奈津子が愛した映画人 vol.39 ラッセル・クロウ
字幕翻訳の第一人者・戸田奈津子さんは、学生時代から熱心に劇場通いをしてきた生粋の映画好き。彼女が愛してきたスターや監督の見るべき1本を、長場雄さんの作品付きで紹介する。
彼のほうから「一緒に写真を撮りましょう」
過去にプライベートで起こしたトラブルが原因で短気なイメージがついてしまっているラッセル。今では見た目もかなり貫禄が出ちゃいましたが、『ビューティフル・マインド』(2001)の取材ではすごくチャーミングだったのを覚えています。 とにかくケラケラとかわいらしい声でよく笑うし、機嫌よくインタビューに応えてくれる、垂れ目が魅力的な人でした。取材後には彼のほうから「一緒に写真を撮りましょう」と言ってくれたの。 今までたくさんのスターに会ってきたけれど、自分から取材陣に写真を撮ろうと言った人は彼だけね。それ以来、すごくお気に入りの俳優です(笑)。 彼の出演作の中でも特に好きなのが『L.A.コンフィデンシャル』(1997)。1950年代のロサンゼルスを舞台にした犯罪もので、ラッセルは女性に暴力を振るう男を許さない熱血漢の刑事を演じていました。 意外なラストが待ち受けるすごくおもしろい映画だったわね。刑事ものは多々あれど、これは特によくできている佳作です。 語り/戸田奈津子 アートワーク/長場雄 文/松山梢
『L.A.コンフィデンシャル』(1997) L.A.Confidential 上映時間:2時間18分/アメリカ 舞台は1950年代のロサンゼルス。コーヒーショップで元刑事を含む6人の男女が惨殺される事件が発生。殺された刑事の相棒だったロス市警のバド(ラッセル・クロウ)は、ベテランのジャック(ケヴィン・スペイシー)、新人エリート刑事のエド(ガイ・ピアース)と共に捜査を開始する。 被害者のひとりが"白ユリの館”の娼婦であることを突き止めたバドは、女優のヴェロニカ・レイクにそっくりな高級娼婦のリン(キム・ベイシンガー)に接触し、強烈に惹かれていく。 ラッセル・クロウ 1964年4月7日生まれ、ニュージーランド出身。『クロッシング』(1990)で映画初主演。『クイック&デッド』(1995)でハリウッドに進出した。『L.A.コンフィデンシャル』(1997)で注目を集め、『インサイダー』(1999)『グラディエーター』(2000)『ビューティフル・マインド』(2001)で3年連続アカデミー主演男優賞にノミネートされ、『グラディエーター』で同賞を受賞した。 『プロヴァンスの贈りもの』(2006)『アメリカン・ギャングスター』(2007)『ワールド・オブ・ライズ』(2008)『ロビン・フッド』(2010)など、リドリー・スコット監督の作品に多数出演している。 語り/戸田奈津子 アートワーク/長場雄 文/松山梢
集英社オンライン