田中佑美と石川周平が〝先生〟に 聴覚特別支援学校で陸上教室を実施/陸上
陸上の女子100メートル障害で今夏のパリ五輪代表の田中佑美と、男子110メートル障害で2022年世界選手権代表の石川周平(ともに富士通)が27日、千葉・市川市の筑波大学附属聴覚特別支援学校小学部を訪問し、陸上教室を実施した。田中は、「向こうからたくさん話しかけてくれて。初めて来た陸上教室という感じではなく、地元の小学校にきた感じで。そのまま健やかに育てーという感じでした」と笑った。石川は、「すごくすごく元気で、こちらも元気をもらえる陸上教室になりました」と振り返った。 〝佑美先生〟は、小学1、2、3年生を対象にして、ジャンプを軸に指導。鬼ごっこなどで汗を流しつつ、児童が始めた不思議な動きのダンスに田中も参戦し、会を盛り上げた。「あまりアスリートとして構えてほしくなくて、足の速い兄ちゃん姉ちゃんが来た、楽しかった、というのが大事。彼ら彼女らのちっちゃなおふざけに一緒に乗ってあげながら、締めるところは締めるというのは意識していました」と振り返った。 中高の体育教諭免許を持つ〝周平先生〟は、小学4、5、6年生を対象にして、バランスを軸に指導。2人とも、かがんで子どもに視線を合わせ、ゆっくり話すなどの工夫も凝らし、「まずは、運動を楽しいと思えるのが一番大切。きょうは子どもたちが楽しみながらやってくれて、僕らもうれしい気持ちになりました」と石川は語った。 イベント後の取材では、2人の子ども時代についての話題も。田中は、「小学生から割と足が速かった。高学年になって身長が伸びるにつれて速くなって、新幹線の『のぞみ』っていうあだ名をつけられていました。50メートル走で男子に負けるのが悔しくて悔しくて」と明かした。一方、石川は、「めちゃめちゃ元気な子でした。小学生の頃はサッカーをやっていて、ほかにも水泳も。あとは姉がバレーボールをしていたので、その時間も体育館について行って周りで動き回っていました」と明かした。この日、元気に走り回る子どもたちを見て、「自分もこんな感じだった」と懐かしみながら交流を楽しんでいた。 2人が見据えるのは、来年、東京・国立競技場で開催される世界選手権。普段の国際試合は、時差の関係で日本時間では深夜のレースになることが多いだけに日本開催の世界選手権は貴重。田中は、「きょう一緒に走った子たちも、眠くない時間帯にレースを見られる。世界の選手としっかり戦っている姿を見せられるように頑張りたい」と意気込んだ。石川は、「陸上選手にとって、一番大きい舞台は世界選手権、オリンピック。まずは来年、世界選手権でちゃんと戦うことを目標に」と力強かった。