スターダムが誇る高速覆面レスラー マスクを被った理由と練習嫌いな素顔【スターライト・キッド(前編)】
実際、ジムを掛け持ちするようになってから「力強さが出た」とか「以前よりも動きにキレがある」との声が増えたという。形として現われたのが、21年8月29日のハイスピード王座奪取だった。かねてから目標としていたタイトルで、その名の通りハイスピードスタイルの選手にとって最大の勲章。キッドは8度目の挑戦でようやくこのベルトに到達した。筋量アップとスピードを意識したトレーニングの賜物だ。 有酸素運動を取り入れたトレーニングに本格的に取り組んだのは、その年の6月のことだった。このとき、キッドはまだベビーフェース。スターダムの正規軍STARSのメンバーだった。小さくとも懸命にファイトする姿はいかにもベビーフェース。誰もが思わず応援したくなるキャラクターだ。しかし、6・12大田区総合体育館でのSTARS vs大江戸隊全面戦争に敗れ、ルールによりキッドは強制的にSTARSを脱退、大江戸隊に加入させられることとなってしまう。絶対的ベビーフェースからのヒール転向を強いられたのだ。 (後編に続く)
取材・文・写真/新井宏 撮影協力/ X-TREME Personal Gym 写真提供(試合、宣材)/STARDOM