【ひねもすのたりワゴン生活】自称果樹園に新顔登場 その1
で、店内に入ろうとしたら、入り口脇の棚にジャガイモの種芋がずらりと並んでいた。昨今、品種が多くなって、聞いたことのないような名前もいくつかあったが手は伸びない。でも、端のほうに「自然薯」の文字が…。見ると、3種類の種芋が売られていて、どれも入荷したばかりらしい。これって、あのとろろ汁やマグロの山かけにするやつだよなぁ…と、思わず手に取ってしまったのが運の尽きで、つい説明書きに目を遣ると、育てるのはそんなに難しくないらしい。種芋を植えて、蔓を巻きつける支柱を立ててやれば、あとは放っておくだけでよさそうだ。自然薯だの山芋だのといえば、八百屋で買うものと決めつけていたけれど、育ててみるのも悪くない。そういえば、ゴールドキウイの棚の下が空いているし、あそこなら風通しも日当たりも解決できるだろう。
…なんてことを妄想しているうちに、自分で育てた芋で、とろろ飯を作ってみたくなってきた。そして、気がつけばコロッと丸っこい伊勢芋系と平らな手芋系との2種をカゴに入れていたのだった。肥料を買おうと出かけた先で待っていた思いがけない出会い…クルマ旅でもそうだったけど、こういうのがいちばんワクワクする。
【筆者の紹介】 三浦 修 BXやXMのワゴンを乗り継いで、現在はEクラスのワゴンをパートナーに、晴耕雨読なぐうたら生活。月刊誌編集長を経て、編集執筆や企画で糊口をしのぐ典型的活字中毒者。 【ひねもすのたりワゴン生活】 旅、キャンプ、釣り、果樹園…相棒のステーションワゴンとのんびり暮らすあれやこれやを綴ったエッセイ。
三浦 修