『ハリー・ポッター』にニュートの姿が? 知らないと気づかない『ファンタビ』との繋がり
『賢者の石』で言及のあったニコラス・フラメル本人登場
『ファンタビ』シリーズ2作目『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』では、『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001年)で「賢者の石の創造に唯一成功した錬金術師」として名前が挙がったニコラス・フラメル(ブロンティス・ホドロフスキー)その人が登場している。ダンブルドア(ジュード・ロウ)の友人である彼は、フランスでグリンデルバルドが集会を開いた際に、ニュートらとともにグリンデルバルド(ジョニー・デップ)の魔法が人間界に影響を及ぼすのを阻止した。ニコラス・フラメルは同名の実在した人物をモデルにしたキャラクターだが、「魔法ワールド」では彼はマグルの錬金術師ではなく、ボーバトン魔法アカデミーを卒業した魔法使いとなっている。
意外な姿で登場したナギニ
『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』で謎の美女ナギニ(クローディア・キム)が初登場したとき、自分の目と耳を疑ったファンもいたのではないだろうか。「『ハリー・ポッター』に登場した“あの”ナギニ?」と。『ハリー・ポッター』に登場したナギニは、ヴォルデモートに仕える忠実なヘビだった。しかしナギニがもともとは人間の女性で、呪いによってヘビに姿を変えることができる人物だったことが同作で明かされたのだ。そして何度もヘビに変身していると、いつか人間の姿に戻ることができなくなるとわかり、『ハリー・ポッター』でなじみのあるあのヘビの意外なバックグラウンドを知ることになった。ナギニとヴォルデモートがいつどのように出会い、行動をともにするようになったのかはまだ不明だが、今後明かされることを楽しみにしたい。
『賢者の石』から存在が示されていたグリンデルバルド
『ファンタビ』シリーズのラスボスであるグリンデルバルドも、実は『ハリー・ポッター』シリーズに登場している。しかも最初に彼について言及されたのは、なんと『ハリー・ポッターと賢者の石』で、ハリーたちがホグワーツに到着するより前だったのだから驚きだ。ホグワーツ特急のなかでロンが蛙チョコレートを買うと、おまけでついてきたのはダンブルドアのカード。その説明には、「1945年に伝説的な決闘の末、グリンデルバルドを破った」とあった。これから『ファンタビ』で描かれるであろう、2人の結末はすでに公式に明かされているのだ。映画ではどのようなシーンになるのか、今から期待が高まる。 そのほかにグリンデルバルドが登場するのは、ニワトコの杖関連の回想だ。『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』では、杖職人のグレゴロビッチのもとからニワトコの杖を盗む彼の姿が映し出されている。その後、ニワトコの杖を探すヴォルデモートがヌルメンガード城に幽閉された彼のもとに現れ、杖のありかを教えるよう迫っている。 ちなみに映画では、このときグリンデルバルドはニワトコの杖の持ち主はダンブルドアであり、彼の死後、杖も彼とともに墓下に眠っていると言っているが、原作では最後まで持ち主を明かしていない。これは2人の関係性を示唆する重要なシーンだ。グリンデルバルドは、ヴォルデモートがダンブルドアの墓を荒らすことを望まなかったのかもしれない。志を違えたとはいえ、彼にとっても2人の関係は特別だったと思いたい。『ファンタビ』シリーズでは、過去に同じ志を掲げながら、対立することになったダンブルドアとグリンデルバルドの関係にフォーカスされる場面も多々あり、ダンブルドアの苦悩も描かれている。しかし『ハリー・ポッター』シリーズの時点では、彼らの関係は、とくに映画版では、深く掘り下げられることはなく、こうした違いが生まれたものと考えられる。 『ファンタビ』の主人公ニュートの著書がホグワーツの教科書に採用されていたり、同シリーズに若き日のダンブルドアが登場したりするように、『ファンタビ』以降、歳を重ねた彼らが『ハリー・ポッター』に登場することはなんら不思議なことではない。しかし1作目からさまざまな伏線が張ってあったと気づくと、ローリングの世界観創造の手腕に驚かされる。今回紹介したほかにも、両シリーズのつながりとなる要素はあるので、ぜひ探してみてほしい。
瀧川かおり