日産・ホンダ提携の本命は「軽・小型EV」共同開発? ダイハツ不正発覚後の一大動向の行方とは
EV時代への戦略
2024年3月15日、日産とホンダは、自動車の電動化・知能化に向けた戦略的パートナーシップの検討を開始する覚書を締結したと発表した。 【画像】えっ…! これが60年前の「海老名サービスエリア」です(計16枚) この日発表された内容の要旨は、 ・EVの基幹部品の共通化と共同調達を推進する ・中核部品のイーアクスルとプラットホームの共通化を検討する ・バッテリーの共同調達やハイブリッド車など電気車の共同開発に拡大する可能性がある といったような内容で、具体的な取り組みについては触れられていない。 両社が電気自動車(EV)市場で生き残るための選択ではあるが、この提携の主眼は軽・小型EVの共同開発になるだろう。本稿では、その根拠を示す。
変化する軽自動車市場の構図
両社の提携に関する議論は、1月中旬に始まったと報じられている。 2023年12月に発覚したダイハツの大規模な不正から1か月もたっていないタイミングから、この件と何らかの関係があると見られている。ダイハツの信用が失墜したなか、両社は提携によって軽自動車ナンバーワンの地位を確立する狙いがあるのかもしれない。 それを証明するデータとして、全国軽自動車協会連合会が発表している2023年1月から12月までの軽四輪車総販売台数を調べてみた。ホンダと日産の販売台数は次のとおりである。 ・ホンダ:31万8563台 ・日産:18万9627台 両社合計で50万台を超え、日産との提携関係にある三菱自動車(5万7849台)を含めると56万6039台となり、首位のダイハツ(56万5928台)をわずかに上回っている。 ダイハツが長年守ってきた軽自動車ナンバーワンの座を奪取する可能性を視野に入れ、さらにダイハツのシェアを奪おうとしているのだろう
多角的な目標と共同開発
次に、両社のEV戦略を見てみよう。 目指すEVラインアップのうち、軽自動車と小型車については、あまり明確なビジョンを持っていない。まず、ホンダについては、2022年4月12日に公表した「四輪電動ビジネスの取り組みについて」で、 ・2030年までにグローバルで30車種のEVを投入し、EVの年間生産台数を200万台以上とする ・2040年までにEVと燃料電池車(FCV)の世界販売比率を100%にする などの目標を掲げている。また、軽自動車の電動化も推進中で、 ・2024年:軽商用EV「N-VAN e:」 ・2025年:「N-ONE」ベースの軽乗用EV を発売予定で、さらに2026年には2車種の小型EVを投入する。 こうした電動化戦略を打ち出す一方で、2020年に発売した小型EV「ホンダe」の生産を2024年1月で終了するなど、EVラインアップのシフトも進めている。同月に開催されたCES2024では、EVコンセプト「Honda 0(ゼロ)シリーズ」を発表し、S、M、Lの3車格でマルチモデルを展開するとしている。