データと感性で難しい打球も簡単に処理 巨人・吉川尚輝の守備は細部にこだわった準備のたまもの
巨人・吉川尚輝内野手(29)が念願の勲章を手にした。プロ8年目で初の三井ゴールデン・グラブ賞獲得。「ずっと目指していた賞なので、受賞できて本当にうれしいです。たくさんの人に感謝したい」と喜びをかみしめた。 * * * * 華麗であり、確実性の高い吉川の守備に磨きがかかっていた。抜群の身体能力と球際の強さを生かしたプレーでチームを救ったのは一度や二度ではない。「たまたまです」と謙遜することが多いが、守備で試合の勝利を引き寄せることのできる選手は少ないだけに存在感は際立っていた。 試合の流れを変える派手なプレーも、もちろん魅力だが吉川の真骨頂はその先にあると感じる。難しい打球をファインプレーに見せない。どんな打球も簡単に処理しているように見せるところに、すごみが詰まっている。 今季、打った瞬間に一、二塁間や二遊間を抜けていくと思った打球を難なくアウトにする場面が多かった。「選手の打球方向のデータを見ながら、長年やってきた自分の感性と合わせてやっている」。打者や投手の特徴を把握した上で打球を予測し、ポジショニングを動かしていることで生まれるプレーだったのだ。 事前にイメージしているから、いざ厳しい打球が来た時に誰よりも素早く一歩目を切って、アウトにすることができる。何げない一つのアウトも、ファインプレーも、全ては細部にこだわった準備のたまものだった。(野手担当・宮内 孝太)
報知新聞社