センバツ高校野球 青森山田、4強逃す 九回反撃、意地の1点 /青森
第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)は大会第9日の28日、東北勢で唯一勝ち上がった青森山田(青森)が準々決勝で中央学院(千葉)と対戦し、2―5で惜しくも敗れた。東北勢としては2012年の光星学院(現・八戸学院光星)以来となる準決勝進出を逃した。センバツ初白星から新たな歴史を作った青森山田の選手たち。三塁側アルプス席から惜しみない拍手が送られた。【江沢雄志、来住哲司】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 春夏通じて初めての甲子園ベスト4を目指したが、壁は厚かった。橋場公祐主将が「一本出し切れなかったところが敗因」と振り返るとおり、あと一歩及ばず、涙をのんだ。 87球を投げた27日の2回戦に続き、桜田朔が先発。「いつも通りに」と父博さん(47)に背中を押されるように一回表を無失点で抑えると、その裏に吉川勇大が適時打を放ち、幸先良く先制した。「昨日は無安打だったので、落ち込んでいないか」という吉川の父永利さん(46)の心配をよそに、結果を出した。 しかし、二回に3点、四回にも2点を失うと流れが変わった。四回途中から登板したエースの関浩一郎は無失点で持ちこたえたが、打線は毎回のように走者を出しながらも本塁が遠かった。 九回には、ともに木製バットを愛用する対馬陸翔と吉川が長短打で1点を返し、意地を見せた。三塁側アルプス席は連日のサヨナラ勝ちを期待したが、かなわなかった。 開会式で主将の橋場が宣誓した通り、目の前の白球をがむしゃらに追い続けた青森山田。兜森崇朗監督は「選手たちが日に日に成長する姿を見て感動した」と振り返る。チームは夏へ向けて新たな挑戦を始める。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇夏、必ず戻ってくる 青森山田 佐藤隆樹外野手(2年) 50メートル走のタイムは6秒フラット。「二塁、三塁から本塁に還ってくるのは得意」と胸を張る通り、チーム一の俊足を生かし、大舞台でリードオフマンの役割を存分に果たした。 甲子園でのセンバツ初戦は、自身にとって初めての高校公式戦フル出場。「緊張もあった」というが、その後は再三の好走塁でチームを勢いづけてきた。この日も一回、中前打で出塁すると、その後の適時打で先制点のホームを踏んだ。 埼玉県の親元を離れての寮生活。「朝起きて、自分で洗濯して練習も両立して。親にやってもらっていたことが多かったなと思います」とはにかむ。初戦の活躍後、母からは「自信がついたんじゃない?」と電話で言われた。グラウンドで見せる堂々たるプレーが何よりの証しだ。 チームは逆転負けを喫したが「絶対もう一回ここでプレーがしたい」。夏に向けて精進を誓う。【江沢雄志】