ホークス優勝のカギは〝先発で60勝〟! ソフトバンク倉野信次コーチ×お股ニキを唸らせた、阪神とレンジャーズに共通する「名将の勝負勘」【後編】
■〝日米の融合〟でプロ野球に風穴を開けたい お股 そして何より、倉野さんに期待したいのは、アメリカでの経験を踏まえた「データ+感覚」の融合の部分です。 倉野 アメリカから帰ってきたからといって、アメリカのやり方をそのままやろうとは思っていません。でも、日本のプロ野球で変わらなきゃいけない、変えなきゃいけないものも絶対にあります。そこはやっぱり風穴を開けたいし、変えたいと思っています。 その反面、変えなくていいもの、変えてはいけないものも日本の野球界にはあります。そのあたりの取捨選択も必要です。とにかく、私が考えているのはさまざまな融合......アメリカの良さと日本の良さの融合、今と昔の融合。もうひとつ言うと、科学と根性の融合もしていきたい。 お股 もう、すべてを融合していく。変えなくていい部分との融合、という意見もすごく共感します。 倉野 自分の考えで凝り固まった融合ではなく、どんどん進化するような融合でありたいですね。アメリカで過ごしたのはわずか2年ですし、すべてがわかったわけでは当然ないです。 さらに、アメリカの野球は常に変わり続けています。でも、アメリカで学んだことは、自分の今までのコーチングに一石を投じてくれました。考え方は柔軟になったし、幅が広くなったし、もっともっと学びたい気持ちになりました。日本でもしっかり学び続けながら、日本の野球に還元していきたいです。 お股 どんどんアップデートしていく、と。ソフトバンクは中継ぎの枚数も豊富なので、「中継ぎローテーション」といった新しい取り組みもぜひやってほしいですね。 倉野 今までの形に捉われないことをやりたい。その点は小久保監督とも価値観は一致しています。一昔前でいくと、左打者には必ず左投手をぶつけていましたが、そういうのも違うんじゃないかと。 お股 それは僕もずっと唱えていることなので、実証してほしいです。何よりもさまざまな融合が楽しみですし、「さすが!」とファンを唸らせてほしいです。期待しています。 ●倉野信次(くらの・しんじ) 1974年生まれ、三重県出身。現役引退後、福岡ソフトバンクホークスの1~3軍投手統括コーチなどを歴任し、4年連続日本一に貢献。一昨年、テキサス・レンジャーズ傘下の2Aと3Aでコーチ研修を経験。昨年、マイナーリーグ投手育成コーチに就任。今季、古巣に復帰。 ●お股ニキ 野球評論家、ピッチングデザイナー。さまざまなデータ分析と膨大な量の試合を見る中で磨き上げた感性を基に、選手のプレーや監督の采配に関してSNSで活動。その理論を取り入れる選手が急増し、オンラインサロンに40人以上のプロ選手が加入。プロ、アマ問わず、千賀滉大、藤浪晋太郎(共にメッツ)に次いでMLBや甲子園を目指す投手の個人指導を行なう。公式X【@omatacom】 構成/オグマナオト 写真/球団提供