<春に挑む・国学院久我山センバツへ>/上 外野陣連携、万全の守備 夏の逆転負け、糧に成長 /東京
「強くなった、頼もしい」。国学院久我山の尾崎直輝監督(31)は昨年11月7日、秋季都大会での優勝後、取材陣に語った。同年夏の西東京大会決勝で東海大菅生に敗れた悔しさを忘れず、進み続けたチームの成長を実感しているようだった――。 ◇ 昨年11月6日に行われた秋季都大会準決勝の相手は日大三。順調に勝ち上がってきた久我山は勢いに乗っていた。攻撃では1番・斎藤誠賢(2年)が4打数4安打3打点の大活躍。3回戦で本塁打を放っていた5番・下川辺隼人(同)も4打数2安打4打点をたたき出し、クリーンアップの貫禄を示した。 守備も万全だった。中堅手の斎藤、右翼手の大野良太(同)、左翼手の木津寿哉(1年)は前日に相手打線の打球の傾向を分析し、互いの動きを確認していた。三回に相手の2番打者を迎えた場面では、斎藤が左翼寄りにポジションを変えると、ずばり真正面で飛球を捉えた。 この連携には、夏の反省があった。西東京大会決勝は、リードしながら外野手同士の交錯というミスから逆転負けを喫し「外野手のミスで試合が一変する」と痛感した。日大三戦でその反省が生きたのが三回の場面。試合後、外野の3人は「(あの連携は)気持ち良かったね」と語り合った。 準々決勝に続いて先発した渡辺建伸(2年)と捕手の吉川侑杜(ゆきと)(同)の連携もバッチリだった。大量リードで迎えた五回裏、最後は相手の4番打者を狙い通りの配球で空振り三振に打ち取り、コールド勝ちを収めた。 日大三を14対3で降しながら、悔し涙を流した選手がいた。この試合、無安打で終わった4番・成田陸(同)だ。「自分だけ打てず、足を引っ張った」。帰宅して外で素振りをしていると、その日の試合を見ていた中学野球部時代の指導教諭、八木義人さんから連絡があった。八木さんは成田の家を訪れ、1時間、素振りを見てくれた。成田にはこの時間が安心材料になった。 翌日の決勝、尾崎監督から「結果は気にするな。思いっきりやってこい」と声をかけられた。成田はその言葉に背を押され、打席に立った。 ◇ 3月18日に甲子園で開幕するセンバツ大会に、都内から国学院久我山と二松学舎大付が出場する。2校が春の切符を手にするまでの道のりを振り返る。【小林遥】 〔多摩版〕