社会人の２年間で攻守に成長し、指名を待つＮＴＴ東日本の野口泰司捕手

◇10・24　いざ！！ドラフト　社会人編 　プロ野球ドラフト会議が24日に迫ってきた。中部地区からプロ入りを志す高校生、大学生、社会人選手を3回に分けて特集する。最終回はNTT東日本の野口泰司捕手（23）。 　野球人生になくてはならない2年を過ごした。野口が、ドラフト指名を待つ3度目の秋を迎えた。「2回指名漏れを経験しても、小さい頃からの夢は変わらない。社会人で技術が向上して今が一番自信もある。プロの舞台で実力を試したい」とブレない気持ちを語った。 　愛知・栄徳高、名城大時代の2度、プロ志望届を提出しながら指名はなかった。名城大では3年春、4年春秋と3度のリーグ優勝と全国大会出場に貢献。4年秋には4番として打線をけん引して4強入りし、大学日本代表にも選ばれた。華々しい実績があっただけにダメージは大きかった。それでも、前を向いた。 　「今まで積み上げたプライドは捨てて、ゼロから始めよう」。大学進学時は全国の強豪から声がかかったものの、地元で野球をしたくて愛知に残った。今度はあえて厳しい道を選択。「試合に出られないとしても、社会人でレベルの高いところでやりたい」とNTT東日本に入社した。 　大学4年の夏から肩のけがに悩まされ、捕手として自信を失っていたのがスローイング。それを今では「武器」と語れるまでに育ててくれたのは、上田祐介捕手コーチだった。 　昨夏、都市対抗大会予選に敗れた後、徹底的に送球を見直した。地肩に自信があって力任せになっていた癖を、下半身から上半身へ連動する送球動作に修正。1日150球ほど投げ込む猛特訓を3カ月間継続し、安定感を手に入れた。1年目は「4番・指名打者」での出場だったが、2年目からはスタメンマスクを任されるようになった。 　大学時代から評判の「打てる捕手」の顔も健在だ。入社当初は大学以上に相手チームに分析されて結果が出ない日々。それでも4番で起用してもらった。「変えないと」と助言をくれたのは、今は侍ジャパンを指揮する井端弘和コーチ。遠くへ飛ばす意識で下から上へと振っていたスイングを投手方向へシンプルに突き出すスタイルに変更し、徐々にコンタクト率も上がった。今夏の都市対抗予選では打率4割5分5厘、4打点で本戦出場に大きく貢献した。 　攻守ともに力任せから脱却し、確かな技術を身に付けた2年。今夏にはU23日本代表で主将を務め、世界一を経験した。やれることはやった。あとは3度目の正直を信じるだけだ。 　▼野口泰司（のぐち・たいし）　2001年2月7日生まれ、愛知県知立市出身の23歳。180センチ、95キロ、右投げ右打ち。知立市立西小1年時に知立西エンゼルスで野球を始め、知立中時代は愛知衣浦シニアに所属。栄徳高では1年春から代打で出場し、夏の愛知大会途中からスタメンに名を連ねた。2年夏の準優勝が最高成績。名城大では3度のリーグ優勝と全国大会出場を果たし、4年秋は明治神宮大会4強。4年時に大学日本代表。NTT東日本では1年目は指名打者で出場し、2年目から正捕手。今夏のU23日本代表で主将。