【ルヴァン杯】初Vへ新潟松橋力蔵監督「価値のあるゲームに」名古屋長谷川監督は日産時代の先輩
クラブ初タイトルを狙うアルビレックス新潟が2日、東京・国立競技場で名古屋グランパスとのルヴァン杯決勝に臨む。 試合前日の1日、同所で最終調整。冒頭15分が報道陣に公開され、その後、合同記者会見が行われた。就任3年目の松橋力蔵監督(56)にとっては、日本リーグ時代の日産自動車(現J1横浜)でともにプレーした敵将・長谷川健太監督(59)との決戦ともなる。選手たちと作り上げた新潟のフットボールを大舞台でぶつけ、天高く優勝カップを掲げる。 ◇ ◇ ◇ 決勝戦前日、松橋監督はウオーミングアップする選手たちの脇で普段通りにリフティングをしながら、国立の空に向かって大きくボールを蹴り上げた。 「ピリピリした感じもありながら、いい雰囲気で準備が出来ています。初のファイナルにうっすら不安というのは当然あると思うが、みんなで楽しみたいと思います」 今季は苦難の連続だった。3月、ダブル副主将の1人だったDF新井がJ1広島に電撃移籍。さらに中盤戦まではケガ人が続出し、戦力が整わない中でリーグ戦と並行して大会を戦った。それでもチーム一丸となり、てっぺんまであと1つに迫った。「自分たちが歩んできた道。これを正解にしよう。このゲームを価値のあるものにしよう」。決戦に向け、指揮官は熱い思いを今いる選手たちに伝えた。 堅守速攻がスタンダードになりつつあるJリーグの中で、パスをつないで前進する独自路線を貫く。名古屋とは今季リーグ戦1勝1敗。この大舞台は決着をつける場ともなる。「今、持っているものをしっかりとぶつけていきたいと思っています」。勝利を譲る気はない。 名古屋の長谷川監督とは日本リーグの89-90年、90-91年の2シーズン、日産自動車で共闘。引退後は、先輩がプロの監督としてキャリアを積む姿を「遠くから見ていた」と話す。「昨年の試合後、カップ戦の決勝を戦おうと(長谷川監督と)話していた。非常に楽しみ」と後輩の顔を見せた。 現役時代に同じ寮に住んでいたこともある2人は合同会見の合間に談笑する姿もあったが、決勝当日だけは情を捨て、先輩を上回る。「日本一のサポーターとともに、日本一のチームになる」。攻撃サッカーで真っ向勝負し、新潟に初タイトルをもたらす。【小林忠】 ○…主将のDF堀米悠斗(30)は決戦を前に「すごくいい緊張感で準備できた。あとは名古屋さんに思い切りぶつかっていくだけ」と冷静に話した。この日の練習は全選手が参加。左肘関節脱臼で戦列を離れるGK西村も会場でチームをサポートした。初の決勝には多くの新潟サポーターが駆けつける。「苦しい時も見捨てず、さらに強いサポートをし続けてくれたサポーターに、いい景色を見せてあげたい。サポーター、地域のみんなのために戦う」と初Vを誓った。 ○…副主将のMF秋山裕紀(23)は5バック気味で守備を固める名古屋に対し「ウイングバックをうまく引き出したい」と攻略をイメージ。キックオフの午後1時は雨予報だが「(ボールはよく走る)雨は大好きなので楽しみ」とニヤリと笑った。