東京都日野市で「第19回ひの新選組まつり」 隊士のパレードに街が沸く
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新選組副長の土方歳三や同6番隊組長の井上源三郎の故郷として知られ、日野宿本陣など新選組にまつわる名所が点在する東京都日野市で7日と8日の両日、「第19回ひの新選組まつり」が開催された。新選組隊士パレードでは、全国から集まった新選組ファンや地元企業の人々などが隊士に扮して街を練り歩き、日野市民による祭りばやしや神輿が沿道に集まった人々を沸かせた。
新選組隊士コンテストに全国各地から応募者
ひの新選組まつりは平成10年(1998)、日野市制35周年と土方歳三の没後135周年を機に、まちづくりの一環としてはじまった。以来、東日本大震災を受けて中止した平成23年(2011)を除き、毎年5月11日の土方の命日に合わせて毎年5月の第2土曜日・日曜日に開催している。 会期中は、JR日野駅付近から日野宿本陣付近にいたる甲州街道を含む日野宿会場、高幡不動尊境内などの高幡会場の他、八坂神社会場、日野市立第一小学校会場でも各種イベントが開かれた。このうち、高幡会場では7日、土方役や近藤役など、翌日の新選組隊士パレードで隊士に扮した一般参加者を先導する10名の隊長を選ぶ「新選組隊士コンテスト」が行われ、北海道を含む全国各地から集まった39名が審査に挑んだ。
1分間の自己PRを行う一次審査では、この日に備えて練習したという居合術や自作の歌を披露する人、隊長になるため昨年から13kgダイエットしたと熱意を訴える人などが登場。池田屋事件の当日朝の土方を想定した一人芝居を演じる二次審査を経て、土方役の東京都杉並区の安田友亮さん(33)ら10名の隊長が決まった。 土方の生き様にあこがれているという安田さんは、「土方が亡くなった年齢と数えで同じ年になりました。明日は生まれ変わりと言われるよう頑張りたい」と抱負を述べた。なお、新選組の魅力をたずねると、「一人ひとりにストーリーがあり、キャラクターもそれぞれ立っているところ」と語った。
パレードに参加して楽しめるまつり
日野宿会場では8日午前、オープニングパレードが行われ、市民が祭りばやしを奏でる山車を曳行したり、威勢の良い掛け声をあげつつ神輿を担ぐ姿を見て、沿道の人々がカメラやスマートフォンのシャッターを切る光景が見られた。 会場付近には、焼きそばなどの食べ物や飲み物を販売する飲食コーナーが設置されており、正午前後になると多くの人々が買い求めていた。この日は晴天に恵まれたせいか、日野市の地ビールであるTOYODA BEERのブースでは、午前10時過ぎから約2時間強で約100杯分を完売。運営を担当した日野市役所の職員は、用意したビールの量が少なかったとしながらも、「よいPRになりました」と微笑んだ。 昼過ぎからはじまった新選組隊士パレードでは、馬に乗った土方や近藤に続いて一番隊、二番隊、と隊士たちが次々と登場。勝ち鬨パフォーマンスの地点では、隊士とともに勝ち鬨の声をあげる観客もいた。パレードには、日野自動車など地元企業の人々が新選組として参加したほか、官軍の銃撃隊に扮した人々も登場。新選組隊士ととも戦闘を再現するパフォーマンスを行い、沿道を盛り上げた。
パレードのほかにも、ひの新選組まつりでは八坂神社会場で近藤や土方、井上らの流派である天然理心流の演武や、日野市立第一小学校会場では歴史をテーマにした楽曲を手がける女性ツインボーカルユニット「さくらゆき」のミニライブなど、2日間にわたってさまざまな催し物が行われた。 埼玉県所沢市の40代女性は、手製の新選組の衣装を着せた生後5か月の柴犬「ゴン」を連れて日野市を来訪。「歴史と新選組が好きで、このまつりには毎年来ています。全国各地の新選組ファンが見て楽しむだけではなく、パレードに参加して楽しめるのが良いところだと思います」と話していた。 (取材・文:具志堅浩二)