5場所連続休場の醜態を見せた横綱・稀勢の里はもう引退すべきなのか?
横綱として初土俵となった昨年の春場所は、途中、左肩を痛めながらも逆転優勝して日本中の相撲ファンに感動を呼んだが、故障が完治せずに5月場所は11日目に休場。続く7月の名古屋場所は2つの金星を献上して6日目に休場、9月場所は全休しで治療に専念したが、復帰場所となった11月の九州場所は、元横綱の日馬富士の暴力問題一色で揺れる中、現行の優勝制度となって以降のワーストタイ記録となる金星配給5個で4勝5敗と負け越して10日目に休場していた。 19年ぶりに誕生した日本人横綱として大きな期待を寄せられ、簡単に巡業などを休めず、無理を続けてきたという同情すべき事情もある。「出ては休む」の醜態に対して「横綱としての権威がない。見苦しい」との見解もあるが、横綱審議委員会の方向性としては、まだ引退勧告までには踏みこまない情勢だという。 「連続優勝をして横綱となり、日本人横綱の誕生で相撲人気を取り戻しました。横審もその功績を考慮して寛容に対応するのだと思います。もし大阪場所を全休するとなると批判や、引退論が出てくるかもしれませんが、大阪場所を全休して体調を万全にして5月場所で勝負をかけるということもありでしょう」というのが荒井氏の見方だ。 そして、こう続ける。 「ここまでは横綱としての責任を背負い込んだがゆえに、決して万全ではない状態でも出場を決断したようにも思います。その結果が5場所連続の休場ですから、怪我を治して、万全な体調で、しかも、年齢に応じた調整法を身につけた稀勢の里を見てみたいとは思います。まだ限界と決めつけるのは早いでしょう」 3月の春場所は全休して体調を万全に取り戻してから5月場所に勝負をかけてみればどうかという意見だ。角界の中でも、荒井氏と同じような再起論を語る声は少なくない。 7場所連続休場ののち復活を果たした貴乃花の例もあるが、6場所連続休場した武蔵丸は、翌場所の途中で引退を決意している。 今後、稀勢の里がどういう再起プランを考えるか。相撲勘は、休めば休むほど失われていく。根拠のある対策を練って5月場所では本当に進退をかけた土俵に上がらねばならないだろう。 荒井氏は「生き残りのノルマ」について「2桁の勝ち星は必要でしょうが、まだケースバイケースではないかと、私は見ています」というのだが、日本人横綱として、各界の期待を一身に背負う稀勢の里は、奇跡の復活ストーリーを実現できるのだろうか。