宮城県柴田町西船迫の自宅玄関先で昨年４月、会社員村上隆一さん（当時５４歳）を殺害したとして殺人罪などに問われた長男の妻・村上敦子（４８）と次男・村上直哉（２６）両被告の裁判員裁判で、仙台地裁（宮田祥次裁判長）は２５日、敦子被告に懲役２８年（求刑・懲役３０年）、直哉被告に懲役２０年（求刑・懲役２３年）の判決を言い渡した。敦子被告の弁護側は控訴する方針。

仙台地裁

　判決によると、２人は共謀して昨年４月１７日午前１時４０分頃、直哉被告が隆一さんの右腰を背後から包丁で１回刺して殺害するなどした。

　公判で検察側は、敦子被告が霊能力者に成りすまし、直哉被告に殺害を決意させたと指摘する一方、弁護側は霊能力者との証拠はなく殺人には関与していないと主張。直哉被告が殺害したことに争いはなく、共謀が成立するかどうかが争点となった。

　判決で宮田裁判長は、直哉被告が霊能力者と信じてやり取りしていたＬＩＮＥ（ライン）のアカウントは、敦子被告の祖母方の固定電話番号が登録されていたなどとし、「敦子被告は首謀者として霊能力者に成りすました」と指摘。隆一さんの退職金などを目的に、「自己の手駒として自らの手を汚さないようにして殺人を実行した」と非難した。

　一方、直哉被告について弁護側は、成育環境の影響で心神耗弱状態だったと主張していたが、宮田裁判長は「（隆一さんと）２人きりになったことで犯行を決意し、偽装工作もしている」と完全責任能力を認めた。