「ベースはホンダ『ビート』」に驚く人続出…軽の名車が『ル・マン』連覇のレーシングカーに大変身
2月17日、18日にパシフィコ横浜で開催された日本最大級のクラシックモーターショー『第15回Nostalgic 2days 2024』(ノスタルジック2デイズ)。『トヨタ2000GT』をはじめ、『日産スカイライン』(通称ハコスカ/ケンメリ)など、ノーマルにほど近いきれいな旧車が並ぶ中、異彩を放っていたのが日本工科大学校のブース。1960年代後期に『ル・マン24時間レース』を連覇するなど活躍した“ガルフカラー”の『フォード GT40』(正式名称/フォード GT)をモデルにしたレーシングカーを展示した。 【写真】「これがビート?」細部までよくできてる「GT40風」カスタム内外装全部見せ 「実はこの車、ベースはホンダ『ビート』なんです」 そう話すのは、レーシングカーからコンセプトカーまで幅広く手掛けるコンプリートカービルダー・Art Racingを率いる村手智一氏。同氏は、昨年の本イベントでダイハツ『コペン』をベースに『ポルシェ356スピードスター』をオマージュした『660スピードスター』を仕上げ、大きな話題となった。今回は、講師を務める日本工科大学校の授業の一環として、5人の学生が発案したアイデアを完成まで導いた。 「学生に何を作りたいか聞いたときに、『ホンダビートをベースに、往年のレーシングカーを作りたい』というアイデアが出まして。『めちゃくちゃ大変だ』という話をしたんだけど、『どうしてもやりたい』というので、詳細を詰めていってこの形になりました」 1990年代に、軽自動車のライトウェイトスポーツの先駆けとして一世を風靡し、今なお人気のあるホンダ『ビート』をベースに、1/1の実寸を目指して制作がスタート。だが、その道のりは同氏の見立て通り、苦労の連続だった。 「そもそも軽自動車の車格から5ナンバーを超えるサイズに変えなければならないし、ホイールベースは150mmも違う。車高も本物が40インチで、ビートがギリギリまで下げて41インチ。それ以上車高が下がらない分、フェンダーアーチを少し下げてタイヤとの隙間で調整したり。そういう“辻褄合わせ”に苦労しましたね。FRPとアルミの板を活用しながら、『本物が隣に来ない限りわからない』というところを目標に、なんとか完成しました」 本展の1週前に行われた大阪オートメッセで初披露すると、「大事件じゃないか」(村手氏)というほどの大騒ぎに。本展でも、「ベース車がビートなの!?」と驚く人が絶えず、村手氏に制作の話を聞きに来る来場者が続出した。 「旧車のイベントだけど、旧車をそのままレストアしているわけではないので、場違いに感じる人もいるかもしれない。でも、アプローチの仕方が違うだけで、面白がってくれる人もいる。『これビートなの?』という反応見るのは面白いですね(笑)」 “完成した車を見る人の反応”だけでなく、村手氏にはもうひとつ楽しみなことがあるという。 「毎年、学生が突拍子もないことを言うのが楽しいですね。過去には、ハイエースをベースに、後ろを切って1950年代のルートトラックを作ったり。今年はまだ、何をやるか決まってないのですが、またビックリさせられるんじゃないかと思っています(笑)」