“のんびり屋”3年目に頭角…埼玉のイチゴ「あまりん」 開発に8年、1日5kg食べた日も こだわりと誇り結実
あまりん人気で新規参入が増える中、質の維持も課題という。「ファンを裏切らないよう、いいものを作り続けることが大事。本当に優れたイチゴなので大切にして、埼玉の農家皆で盛り上げたい」 ■味にこだわり開発8年 「あまりん」「かおりん」を開発したのは、県農業技術研究センターの尾田だ。観光農園向けに「味の良さ」にこだわり、あまりんは2009年から8年、かおりんは08年から9年がかりで生み出された。 あまりんは「ふくはる香」と「やよいひめ」の掛け合わせ。そこに至るまで、さまざまな品種を交配し、試食して候補を絞る作業を繰り返した。1日約5キロのイチゴを食べることもあったという。 並行して開発されたかおりんは、開発1年目から際立った存在だった。一方、あまりんは「形と色はいいけれど…」という評価。しかし3年目の12年1月、あまりんは突然、頭角を現す。「1年目の印象がないので、落とされていてもおかしくなかった。けれど(3年目に)ずば抜けてうまくなった。なぜ急においしくなったのか、本当に不思議」
あまりんとかおりんは一部は市場に流通しているが、観光農園や農家による直売がほとんどだ。そこで3年前に市場向けの「べにたま」も育成。べにたまは昨年12月、「クリスマスいちご選手権」で最高金賞に。県はこの3品種のイチゴをPRしている。 尾田は「品種の寿命は10~15年。次を見据え、アップグレードしたイチゴを作りたい」と話している。(敬称略)