U-23日本代表、世界との遭遇 突きつけられた戦力差を埋めることはできるか
そう振り返った藤田譲瑠チマは、このチームではエース格と言える。ベルギーのシント・トロイデンでは準レギュラーで、場数も踏みつつある。しかし、マリのMFで3点目を決めたキャプテン、ブバカル・トラオレはプレミアリーグ、ウルバーハンプトンの準レギュラーだ。 突きつけられた戦力差があった。 もっとも、選手たちは卑屈になることはない。この年代まではしばしば逆転現象が起きるし、かつての長友佑都のように、大会直前までの短い間に急速に力をつける選手もいる。日本人はこうした「世界との遭遇」を触媒に成長を重ねてきた。さらに言えば、長谷部誠、遠藤保仁、川島永嗣のように、五輪代表組を追い越す選手が代表の軸になるケースも少なくないのだ。 マリ戦の敗北はどのようにも捉えられる。パリ五輪世代すべての選手が、向き合うべき試合と言える。そこに「世界」はあるのだ。 3月25日、U‐23日本代表はU‐23ウクライナ代表と対戦する。パリ五輪欧州代表で評判の高いウクライナは、最高のライバルになる。
小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki